2023/11/7
口腔の健康と全身の健康やウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に満たされたよい状態にあることを表す概念)との関連はこれまで数多く報告されてきたが、そのほとんどは単一の健康状態との関連を検証したもので、結論が一致しないこともあった。
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野の木野志保講師と相田潤教授の研究グループは、東北大学、千葉大学、ボストン大学、国立保健医療科学院との共同研究により、日本老年学的評価研究および介護保険のデータを使用して、口腔の健康とそのほかの35の健康やウェルビーイングの指標との関連を網羅的に検証した。
本研究では、2010、2013、2019年の日本老年学的評価研究の15,905名分の縦断データと、日本老年学的評価研究と紐づけた32,827名分の2019年の介護保険データを対象に解析。口腔の健康状態は「20歯以上」、「10~19歯で歯科補綴あり」、「0~9歯で歯科補綴あり」、「10~19歯で歯科補綴なし」、「0~9歯で歯科補綴なし」の5つに分類。2010年の人口統計学的情報等を考慮した上で、2013年の口腔の健康状態と、2019年の身体・認知・精神的健康、主観的ウェルビーイング、利他的行動、健康行動などを含む35の健康とウェルビーイングの指標との関連を検証した。
その結果、以下のことが明らかになった。
・歯が20本以上ある人に比べ、20本未満の人は6年後の死亡リスクが10~33%高く、身体的な機能障害のリスクが6~14%高い
・歯が20本未満の人は、外出の頻度が少なく、野菜や果物を食べる量が少ない傾向にある
・残存歯が0~9本で歯科補綴を使用していない人は、重度の身体的な機能障害を有する可能性が高く、知的活動が少なく、絶望感を感じる割合が高い
これらの結果をふまえ、同研究グループは、「口腔の健康増進が死亡率・身体的機能障害リスクの低減、知的能力の維持、外出頻度、食生活の維持に寄与すること」、また「歯の喪失を予防し、歯を失ってしまった場合には歯科補綴治療でこれを回復することで、死亡率や機能障害の減少、知的能力の維持、外出頻度、食生活の改善と関連する可能性があること」も示唆されたと発表している。
詳しくは、下記のWEBサイトを参照
・東京医科歯科大学WEBサイト
「口腔の健康と健康状態・ウェルビーイングとの関連の網羅的な検証研究」【木野志保 講師】
https://www.tmd.ac.jp/press-release/20230920-1/#anchor39
【関連ページ】
●ムリなく ムダなく できる! 口腔ケア
https://www.almediaweb.jp/oral/oral-001/
●「ディアケア プレミアム」
口腔ケア 基本の“き” (実践ケア動画)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat05/theme002/index.html
●「ディアケア プレミアム」
“在宅あるある”を解決 生活に取り入れる口腔ケア(実践ケア動画)
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