2024/1/24
群馬大学は、培養した筋肉細胞やマウスを用いた実験によってチロシンキナーゼの一種、Fynというタンパク質が筋肉の量を調整しているメカニズムを明らかにしたと発表した(2023年11月24日付)。この結果は、群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学分野および同研究科整形外科学分野の共同研究によって得られた。
サルコペニア(加齢性筋減少症)は、加齢に伴い筋肉量や筋力が低下する状態。加齢だけでなく活動性の低下や寝たきりなどによって筋肉を使う頻度が減ったことによるサルコペニアは二次性サルコペニアと呼ばれている。いずれにおいても、筋肉が減るしくみ、サルコペニアの原因はわかっていないことが多く、治療薬も存在しなかった。
細胞の質を良好に維持するしくみには、「オートファジー」という細胞内の自己浄化機能が重要といわれている。同研究グループが過去に行った研究により、Fynがオートファジー活性調節を介して筋萎縮に関与するらしいことはわかっていたが、そのメカニズムには不明な点が多く、Fynがどのような機序でサルコペニアを惹起するかは不明だった。
本研究では、筋肉の培養細胞を用いたメカニズムの解明だけでなく、Fynをノックアウト(遺伝子をあらかじめ欠損させること)したマウスを用いて、一次性・二次性サルコペニアモデルを作成し、Fynがサルコペニアを惹起する因子であるかどうかについて検討を行った。
研究の結果、Fynがオートファジー活性を低下させて、筋肉を減少させることが明らかになったとのこと。同研究グループでは、Fynが筋肉を減らすスイッチを入れることがわかったため、そのスイッチが入る機能を阻害することでサルコペニアを防ぐ薬の開発につながる可能性があり、治療法につながることが期待できるとしている。
詳しくは、下記の群馬大学Webサイト参照
「筋肉の減少(サルコペニア)のメカニズム解明~Fynタンパク質が筋肉量を調整する新たな仕組みを解明~」
https://www.gunma-u.ac.jp/information/170020
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