2024/11/12
糖尿病患者の血糖コントロールにおいてHbA1cに加えて血糖変動の評価が重要視されている。この血糖変動を正確に評価できるのが、持続血糖モニター、CGM(continuous glucose monitoring)である。
CGMは、皮下に挿入した細いセンサーにより皮下の間質液中のグルコース濃度を連続的に測定する機器で、1日の血糖変動を間接的に把握できる1。糖尿病患者がCGMを使用し、リアルタイムに血糖変動を見られることで、自発的な行動変容を促し、HbA1cが大幅に改善するとの研究結果が報告されている。
CGMの有用性が指摘される中、その測定結果が糖尿病診療に活用される場面も増えており、日本糖尿病学会は2024年9月、「先進医療機器により得られる新たな血糖関連指標に関するコンセンサスステートメント」を発表した。このステートメントでは、CGM機器で示されるTIR(time in range)、TAR(time above range)、TBR(time below range)といった血糖関連指標の具体的な考え方と方策が記された。
同ステートメントでは、それぞれの指標についての解説、病態別の目標値、エビデンス等を提示。また「Time in Range(TIR)、Time Above Range(TAR)とはどのような指標か?」「高齢者、合併症が進行した患者、無自覚性低血糖のある患者でインスリン治療を行っている糖尿病患者において、TIRの目標値をどうすべきか?」等、わかりやすい見出しで構成されており、解説の後には「ポイント」もまとめられている。
同学会では、CGM機器の使用にあたりステートメントを活用してもらうことが、低血糖リスクを最小限にしつつ、よりよい血糖管理を達成する人の増加につながってほしいとの意向を示した。
ステートメントに関する詳細は一般社団法人日本糖尿病学会のWebサイトを参照のこと
https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=397
また、ステートメント全文も公開されている。
「先進医療機器により得られる新たな血糖関連指標に関するコンセンサスステートメント」策定に関する委員会:先進医療機器により得られる新たな血糖関連指標に関するコンセンサスステートメント.糖尿病 2024;67(9):369-386.
引用文献
1.林 哲範,宮塚 健:日本の糖尿病患者における持続グルコース測定 (CGM) の現況.北里医学 2022;52:35-41.
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