2024/12/10
医療における「タスク・シフト/シェア」の動きがここ数年加速している。それぞれの職種がより専門性を発揮できるよう、また、安全かつ効率的に医療を提供できるような体制を整えるためのしくみづくりが推し進められている。
看護師においては、医師から看護師へのタスク・シフト/シェアと、看護師から看護補助者へのタスク・シフト/シェアの両面がかかわってくるだろう。
看護職(保健師、助産師、看護師、准看護師)と看護補助者は、法的位置づけを遵守しながら1つの看護チームとしてそれぞれの役割と責任を果たすことが重要である。日本看護協会ではこの度、「看護補助者の業務に必要な能力の指標」(*1)をまとめ、Webサイトで公開した。看護補助者が看護チームの一員として、看護師の指示の下で安全な看護補助業務を行い、チームの目標達成に向けて協働するために求められる看護補助者の段階的な能力の指標となるものである。
本指標では、看護補助者に求められる能力として、以下の2つの大項目とその下位項目を挙げている。
●基本姿勢と態度:所属施設及び組織の理解、コンプライアンス、接遇・応対
●業務遂行に必要な知識・技術:実践(看護師から指示を受けた看護補助業務を遂行する力)、安全(業務上の危険から患者と自己を守る力)、チームワークとコミュニケーション(看護チームの目標達成に参画する力)
そのうえで、求められる看護補助者像を3段階のステップに分け、それぞれのステップで求められる到達目標となる行動を、能力ごとに提示した。
本指標を活用することで、看護チームの一員として、安全に業務を行う看護補助者の計画的かつ段階的な育成が可能となるとしている。そのためには、看護管理者から看護補助者への説明と、面談等でのフィードバックが欠かせない。また、看護師には、協働する看護補助者の能力や研修受講状況等を考慮し、その範囲内で実施できる業務を判断、指示、指導することが求められる。看護管理者は、看護職と看護補助者がそれぞれの役割と責任を果たせるよう、双方への教育を担保する責任がある。
看護チームにおける業務のあり方に関する基本的な考えや、看護職と看護補助者が協働する上で必要な体制整備については、「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」(*2)が参考になるため、合わせて参考にされたい。
【引用文献】
*1 日本看護協会Webサイト:看護補助者の業務に必要な能力の指標.(2024)
https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/nurse_aid_shihyo.pdf
*2 日本看護協会Webサイト:看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド.(2021)
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/way_of_nursing_service.pdf
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