2025/2/4
厚生労働省は2024年12月27日、令和5年度の高齢者虐待に関する調査結果を発表した。それによると、高齢者虐待の相談・通報件数が増加しており、特に介護施設の職員による虐待件数は1,123件に達し、過去最多を記録したという。この件数は昨年度から31.2%増となっている。また、特別養護老人ホームでは経済的虐待や心理的虐待が増加し、有料老人ホームでは適正な手続きを経ていない身体的拘束等や経済的虐待が増えていることも明らかとなった。
施設職員による虐待の種別は、「身体的虐待」が51.3%、「心理的虐待」が24.3%、「介護等放棄」が22.3%の順に多かった。虐待の発生要因としては、「職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足」が77.2%で最も多く、次いで「職員のストレス・感情コントロール」が67.9%、「職員の倫理観・理念の欠如」が66.8%と続いた。
これを受けて、同日、厚生労働省は「高齢者施設等における高齢者虐待防止措置及び身体的拘束等の適正化のための措置の徹底並びに周知に関する取組の実施について(要請)」を関係団体に対し発出。
令和6年度介護報酬改定における高齢者虐待防止に関する措置の徹底を要請するとともに、調査結果から明らかとなった実態を踏まえ、以下についても実施を求めた。
●経済的虐待を防止するため、入所者や入居者からの預り金等について適切な金銭管理の方針・方法を具体策の検討を行うこと
●身体的拘束等の適正化についての具体策の検討を行うこと
●介護職員への研修カリキュラムに、高齢者虐待防止の基礎的な事項に加え、ストレスマネジメントやアンガーマネジメントについての内容を含めること
さらに、自治体向けの「高齢者虐待対応マニュアル」※の改定が年度内に予定されていることや、令和6年度作成された「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き」を「高齢者虐待対応マニュアル」の別冊として再構築し、厚生労働省のWebサイトで公開予定であることも発表された。
※「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」(国マニュアル)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000200478_00002.html
詳しくは、下記のWebサイトを参照
・厚生労働省Webサイト
▼令和5年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48003.html
▼厚生労働省「高齢者施設等における高齢者虐待防止措置及び身体的拘束等の適正化のための措置の徹底並びに周知に関する取組の実施について(要請)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001366831.pdf
【関連ページ】
●ディアケア プレミアム
「管理者・スタッフ、みんなで考える 高齢者虐待の防止」(セミナーコンテンツ)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat19/theme003/index.html
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