2025/6/24
日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会は、高齢者における週1回持効型溶解インスリン製剤使用についてのRecommendationを発表した
糖尿病治療に用いられるインスリン製剤は、作用の発現時間や持続時間によって、超速効型、速効型、配合溶解、混合型、中間型、持効型溶解に分類される。毎回食前に投与する製剤や1日1回投与の製剤など、その種類によって投与タイミングや回数も異なる。
2025年1月には、週に1回の投与で持続的なインスリン作用をもたらす、週1回持効型溶解インスリン製剤(インスリン イコデク)が発売された。注射回数の減少によって患者負担の軽減が期待でき、なかでも、ADLや認知機能の低下によって自己注射が困難な高齢患者においては、家族や医療従事者による週1回投与によって、血糖管理が可能になることが期待される。
一方で、週1回投与という特徴ゆえに、投与調節の柔軟性には制限がある。一部の患者においては、低血糖が重篤化する可能性もある点に留意が必要だ。
同委員会では、高齢者における使用に際してはカテゴリー分類を行った上で「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」に基づき目標値を設定するよう述べている。さらに、高齢者は低血糖の症状が乏しく、重症低血糖をきたしやすいことから、「高齢者糖尿病治療ガイド」「インスリン イコデク投与ガイド」等を参考に、下記の5つの留意点を示している。
1.適切な治療目標を設定する
2.適切なタイミングで血糖モニタリングを実施する
3.訪問看護や介護環境では慎重に計画する
4.感染症、術前の血糖管理など
5.低血糖予防の注意事項と対応
特に、医療従事者が常駐していない在宅の現場や高齢者施設等では、訪問看護師や介護者との連携強化や、低血糖時の対応についての家族・介護者教育、緊急時の対応手段を整えておくこと等が重要になるだろう。発表されたRecommendation内では、上記5つの留意点について具体的な内容が記されているため、確認のうえで、主治医と看護師、介護職など関連職種で連携し、患者状態をふまえた処方や観察に努められたい。
詳しくは、下記日本糖尿病学会のWebサイトを参照
「高齢者における週1回持効型溶解インスリン製剤使用についてのRecommendation」
https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/icodec.pdf
【関連ページ】
●看護師が知っておきたい糖尿病 セルフケア支援を中心に
https://www.almediaweb.jp/diabetes_dialysis/diabetes_dialysis-001/
×close
©DEARCARE Co., Ltd.