2015/11/30創傷ケア
もっと知りたい方はこちら
特集:ますます注目を集める「スキン-テア」
褥瘡の危険因子となったことで一般ナースもアセスメントが必要に
主に高齢者に発生する「皮膚裂傷」である「スキン-テア」に関して、アセスメント/ケアのスタンダードである「ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理」が刊行された。作成したのは一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会で、学会会員に向けて、啓蒙ポスターを会員に送付するとともに、学会のホームページ上で無料ダウンロードできるようになっている。
医療/介護従事者は、高齢者の絆創膏を剥がすときに一緒に皮膚が剥がれてきたり、車椅子移乗のときに皮膚が擦れて容易に裂傷になったりという体験をお持ちだろう。これまではそういう裂傷を目にしても「スキン-テア」であるという認識がないために、その対応や予防に悩んできた。しかも、容易に裂傷となることで、介護にあたる人が「虐待」と勘違いされるなどのリスクもはらんでいる。人口の高齢化が急速に進むなか、「スキン-テア」について広く国民に知ってもらい、療養者や家族が安心して暮らせる環境をつくることが重要である。そのような意図から、当学会学術教育委員会(オストミー・スキンケア担当)では、ベストプラクティス作成のための7名の委員と15名のスキン-テア ワーキンググループを作り取り組んだ。実態調査、プレテストなどを経てベストプラクティス案を作成し、それに対するパブリックコメントをまとめてベストプラクティス作成となった。
スキン-テアは、「摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)」と定義される。分類においては、「STAR分類システム」を使用して標準化を目指した。
実態調査結果によると、粗有病率は0.77%(スキン-テア保有者720名/調査対象者数93,820名)、65歳未満0.15%、65歳以上74歳未満0.55%、75歳以上1.65%となっている。発生時の状況は、医療用テープ剥離時が17.5%と最も多く、次いで転倒時が11.8%、ベッド柵にぶつけた9.9%、車椅子移動介助時4.6%と続いている。
予防ケアとしては、栄養管理(低栄養、脱水等の管理)、外力保護ケア(ベッド環境・車椅子環境の整備、医療用リストバンド、安全なケア技術)、スキンケア(皮膚の保湿、皮膚の洗浄、寝衣の選択)、医療・介護メンバー教育、患者・家族教育などが挙げられる。
スキン-テアの管理として示されている「創傷と周囲皮膚の観察」「創傷管理:止血と創洗浄、皮弁の位置戻し、創傷被覆材、鎮痛処置」などは、まさに看護師の専門性が発揮されるところで、スキン-テアという新たな問題への専門的アプローチがますます期待されている。
詳しくは、下記の日本創傷・オストミー・失禁管理学会Webサイトを参照
http://www.jwocm.org/medical/tear/
もっと知りたい方はこちら
特集:ますます注目を集める「スキン-テア」
褥瘡の危険因子となったことで一般ナースもアセスメントが必要に
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
×close
©DEARCARE Co., Ltd.