2019/4/25
平成30年度の介護報酬改定で新設された「褥瘡マネジメント加算」だが、介護系施設での褥瘡発生予防のための管理に対する評価として注目された。その算定状況がこの度明らかになった。それによると、褥瘡マネジメント加算を「算定している」と答えた介護老人保健施設は37.3%、介護老人福祉施設では19.2%であった。
これは、厚生労働省が3月14日の社会保障審議会(介護給付費分科会)において、「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成30年度調査)」の結果として発表したものだ。同調査では7つの調査項目があるが、ここでは「(1)介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業」の内容を紹介する。
本調査は、「褥瘡マネジメント加算」を算定するまでのプロセスと課題を整理してその効果を検証することなどを目的に実施されたものである。質問内容は、大きく「褥瘡マネジメントの実施状況」「褥瘡マネジメント加算」「入所者・利用者の心身状態に関する記録・評価の状況」に分けて項目を設けている。アンケート調査の対象は、介護老人保健施設(1,238施設)、介護老人福祉施設(1,619施設)、介護医療院(29施設)、居宅介護支援事業所(2,080事業所)となっている。
褥瘡マネジメントの実施状況について
褥瘡マネジメント加算算定介護老人保健施設は37.3%、介護老人福祉施設では19.2%であった。ただし、褥瘡の定義を「持続する発赤」からと回答した施設は約5割であり、「真皮までの損傷」からと回答した施設は約3割となっている。このように、介護系の施設において、褥瘡の定義が曖昧であることが明らかになった。褥瘡マネジメント加算を「算定している」施設において、リスク評価の実施頻度が「3ヶ月に1回程度」と答えた施設の割合は約6~7割であった(前年度の調査では約2~3割)。
褥瘡マネジメント加算算定施設の現状
褥瘡マネジメント加算を「算定している」と答えた施設では、リスク評価を「全ての入所者について実施している」施設が約9割と多かった。褥瘡マネジメント加算を「算定している」施設で、褥瘡ケア計画の作成を「全ての入所者について実施している」と回答した施設は約6~7割であった。
一方で、褥瘡マネジメント加算を「実施していない」施設のうち、「今のところ、予定していない」と答えた介護老人保健施設は40.2%、介護老人福祉施設では47.1%となっている。加算を算定していない理由としては、「入所者ごとの褥瘡ケア計画を作成するのが難しい」とする施設が約3~4割と最も多く、次いで「褥瘡マネジメント加算の算定要件であるリスク評価項目について、少なくとも3ヶ月に1回以上、評価を行うのが難しい」と答えた施設が約2~3割であった。
入所者・利用者の心身状態に関する記録・評価の状況について
主に使用しているアセスメント様式は、「包括的自立支援プログラム方式」が最も多く、介護老人保健施設29.3%、介護老人福祉施設42.6%であった。介護医療院では「MDS方式・MDS-HC方式」が34.5%で最も多く、次に「包括的自立支援プログラム方式」の31.0%だった。居宅介護支援では「居宅サービス計画ガイドライン方式」が最も多く、37.5%という結果であった。
本調査の最後では、入所者の基本情報、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)、認知機能、栄養状態、口腔機能、うつ・閉じこもりの評価といった各種記録の保管方法についての質問項目を設けている。
各種記録の保管方法については、介護老人保健施設ではいずれの入力項目も「紙」と答えた施設が最も多く、それぞれ約4~7割であった。介護老人福祉施設では「紙」と回答した施設が約2~6割であったが、入所者の基本情報、手段的日常生活動作(IADL)、栄養状態、うつ・閉じこもりの評価・記録は「介護ソフト」と答えた施設が最も多かった。居宅介護支援では「介護ソフト」と回答した事業所が最も多く、それぞれ約6~7割であった。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
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