2022/4/1
日本褥瘡学会のガイドラインが7年ぶりに改訂され、『褥瘡予防・管理ガイドライン-第5版』が発表された。同学会が初めて『科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン』を発表したのが2005年で、わが国初のペナルティシステムである「褥瘡対策未実施減算」が出された2002年から3年後のことであった。このガイドラインは、わが国のガイドラインの中でもエビデンスベースドのものとして高い評価を受けた。一方で学会は、褥瘡の深度や状態を多職種で共有できるための褥瘡状態評価ツールDESIGNを策定しており、エビデンスに基づいた褥瘡医療は、ここから始まったといえる。その後、ガイドラインは2009年に改訂され『褥瘡予防・管理ガイドライン』となり、2012年には『褥瘡予防・管理ガイドライン-第3版』が発表された。2015年にはさらなるエビデンスを補充して『褥瘡予防・管理ガイドライン-第4版』が発表された。この間、DESIGNツールは評点の重み付けを加えたDESIGN-R®となり、2020年には、「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」と「臨界的定着疑い」を加えてDESIGN-R®2020となった。
今回7年ぶりに改訂されたガイドラインでは、DESIGN-R®2020も踏まえ、14項目のCQ(クリニカルクエスチョン)を設定して、「推奨文」と「推奨の強さ」を決定している。領域は、外用薬・ドレッシング材・外科治療・リハビリテーション・栄養・スキンケア・体位変換・体圧分散用具と多岐にわたる。例えば、「CQ2 感染を有する褥瘡に銀含有ドレッシング材は有用か?」のCQに対しては、「推奨文:感染を有する褥瘡に対して、銀含有ドレッシング材の使用を推奨する」「推奨の強さ:2D」となっている。
今回の改訂ガイドラインでは、エビデンスの収集とレベル・推奨度の決定にあたり、「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」の手順に則っている。さらに、わが国の特異な医療事情も考慮して作成されている。実際の臨床でエビデンスに基づいた褥瘡ケアを行う際の基本が網羅されている。
書名:褥瘡予防・管理ガイドライン-第5版
編集:一般社団法人日本褥瘡学会
A4版、112頁
発行:照林社
詳しくは、下記の一般社団法人日本褥瘡学会Webサイト参照
http://jspu.org/jpn/info/topic15.html
【関連ページ】
●ガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケア
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/
●褥瘡アセスメントに必須!改定された「DESIGN-R®2020」ここだけは知っておきたいポイント
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