2022/8/3
2022年7月、春恒社より、在宅における床ずれ(褥瘡)予防のための手引書として、『ケアプランが変わる! 在宅介護が変わる! 床ずれ予防プログラム −床ずれ危険度チェック表®︎を活かす−』(編集:日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会)が発売された。
在宅での床ずれを予防するには、発症リスクの高い方をいかに早期に発見し、適切で効果的なケアに結びつけるかがカギとなる。その役割を担う「キーパーソン」と言えるのがケアマネジャーである。なぜならケアマネジャーが、予防の視点でアセスメントしてハイリスク者を抽出し、「ケアプラン」に盛り込むことで在宅ケア・介護の専門職の介入へと確実につながるからである。
ただ、在宅のような制限の多い環境で、ケアマネジャーが床ずれのリスクアセスメントをするには困難も伴う。ブレーデンスケールやOHスケールにあるような皮膚の湿潤状態や骨突出などをケアマネジャーが確認するのは現実的とはいえないだろう。
そこでケアマネジャーが在宅で活用することを前提としたリスクアセスメントツール「床ずれ危険度チェック表®」(日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会/アルケア株式会社)が2019年に開発された。「床ずれ危険度チェック表®︎」は8項目とシンプルな構成で、4項目以上にチェックが付いた場合に「床ずれハイリスク」とみなす。このアセスメントツールは使用が簡便なだけでなく、日本褥瘡学会大浦賞を受賞、日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会とアルケア株式会社との共同研究で在宅での信頼性・妥当性も検証され、国際誌にも掲載されるなど、スケールとしての質も評価されている。
ケアマネジャーは、この「床ずれ危険度チェック表®︎」での評価後に、ケアプランを作成することになるが、それをサポートするのが「床ずれ予防プログラム」(本書の内容)である。利用者がかかえる床ずれリスクの理解(知識の整理)と、利用者の問題点の「解決策」や「多職種との連携」をチェックリストで確認できるようになっている。このチェックリストの特筆すべきところは、ケアマネジャーが「何を」「誰に」相談するかがかなり具体的に記載されていることである。これは、ケアプランを立てるケアマネジャーに役立つのはもちろんだが、ケアマネジャーからオーダーされる側(在宅ケア・介護の専門職)にとっても「自分に何が求められているか、果たすべき役割が明確」ということである。限られた資源・マンパワーで多職種連携を機能させていく上では、本プログラムの活用は大変に有用であるといえよう。
本書は64頁という手頃な分量にまとめられており、ケアマネジャーはもちろん、在宅での床ずれにかかわる、訪問看護師、介護職、医師、歯科医師・歯科衛生士、リハビリ専門職、薬剤師、福祉用具専門相談員など、すべての専門職に読んでいただきたい一冊である。
書名:ケアプランが変わる! 在宅介護が変わる! 床ずれ予防プログラム−床ずれ危険度チェック表®︎を活かす−
編集:日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会
A4判、64頁
発売:春恒社
詳しくは、下記の春恒社Webサイト参照
https://www.shunkosha.com/books/
【関連ページ】
●ガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケア
「褥瘡(じょくそう)のリスクアセスメント・スケールにはどんなものがある?」
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/part2/03.html
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