ガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケアガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケア

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Part2 褥瘡(じょくそう)のアセスメントと見方の基本

褥瘡(じょくそう)のリスクアセスメント・スケールにはどんなものがある?

特集:ナースが知っておきたい
褥瘡の正しい見方と外用薬の使い方
その1 褥瘡の的確なアセスメント

 褥瘡は「つくらない」ことが最も重要です。そのためには、褥瘡発生のリスクを的確にアセスメントして褥瘡発生を予測し、予防のためのさまざまなアプローチを行わなければなりません。

 ガイドラインでも、褥瘡発生予測のための「リスクアセスメント・スケール」の使用は「推奨度B(根拠があり、行うよう勧められる)」とされています。

 リスクアセスメント・スケールには、「1.量的に評価するもの」と「2.質的に評価するもの」があります。1.には、ブレーデンスケール、K式スケール、OHスケールがあり、2.としては厚生労働省危険因子評価票があります。それぞれの特徴を表2に示しました。

表2 リスクアセスメント・スケールの特徴

※幅が広い表は横にスクロールできます
スケール 特徴 外力 湿潤 栄養
    知覚の認知 活動性 可動性 摩擦とずれ 過度な骨突出 浮腫 関節拘縮
ブレーデンスケール
  • 褥瘡発生要因の概念図より構成
  • 予防対策としての看護介入が行いやすい
     
K式スケール
  • 全段階要因と引き金要因に分けている
  • Yes、Noの二択方式
  • 高齢者に限定してスケール開発
     
OHスケール
  • 他のツールと比べて項目が少なく、評価のばらつきが少ない
  • 日本人高齢者用
  • 急性期患者に使用する場合はリスクの見落としに注意
         
厚生労働省危険因子評価票
  • 日常生活自立度により褥瘡予防
  • ケア介入の必要性をスクリーニングする
  • 危険因子の評価からリスクの程度は測れない
   

1.ブレーデンスケール(表3)

 ブレーデンスケールは有名なリスクアセスメント・スケールの1つです。

 ブレーデンスケールは、「知覚の認知」「湿潤」「活動性」「可動性」「栄養状態」「摩擦とずれ」の6項目で構成されています。それぞれの項目を「1点:最も悪い」から「4点:最も良い」で評価し、合計点を出します(「摩擦とずれ」だけは1~3点)。合計点は6~23点で、合計点が低いほどリスクが高くなります。国内でのカットオフ値は14点、国外では16~18点です。ブレーデンスケールの使用は、わが国のガイドラインでは「推奨度B」とされています。

表3 ブレーデンスケール

患者氏名:
評価者氏名:
評価年月日:

知覚の認知

圧迫による不快感に対して適切に反応できる能力

1.全く知覚なし

痛みに対する反応(うめく、避ける、つかむ等)なし。この反応は、意識レベルの低下や鎮静による。あるいは、体のおおよそ全体にわたり痛覚の障害がある。

2.重度の障害あり

痛みにのみ反応する。不快感を伝えるときには、うめくことや身の置き場なく動くことしかできない。あるいは、知覚障害があり、体の1/2以上にわたり痛みや不快感の感じ方が完全ではない。

3.軽度の障害あり

呼びかけに反応する。しかし、不快感や体位変換のニードを伝えることが、いつもできるとは限らない。あるいは、いくぶん知覚障害があり、四肢の1、2本において痛みや不快感の感じ方が完全ではない部位がある。

4.障害なし

呼びかけに反応する。知覚欠損はなく、痛みや不快感を訴えることができる。

 

湿潤

皮膚が湿潤にさらされる程度

1.常に湿っている

皮膚は汗や尿などのために、ほとんどいつも湿っている。患者を移動したり、体位変換するごとに湿気が認められる。

2.たいてい湿っている

皮膚はいつもではないが、しばしば湿っている。各勤務時間中に少なくとも1回は寝衣寝具を交換しなければならない。

3.時々湿っている

皮膚は時々湿っている。定期的な交換以外に、1日1回程度、寝衣寝具を追加して交換する必要がある。

4.めったに湿っていない

皮膚は通常乾燥している。定期的に寝衣寝具を交換すればよい。

 

活動性

行動の範囲

1.臥床

寝たきりの状態である。

2.座位可能

ほとんど、または全く歩けない。自力で体重を支えられなかったり、椅子や車椅子に座るときは、介助が必要であったりする。

3.時々歩行可能

介助の有無にかかわらず、日中時々歩くが、非常に短い距離に限られる。各勤務時間中にほとんどの時間を床上で過ごす。

4.歩行可能

起きている間は少なくとも1日2回は部屋の外を歩く。そして少なくとも2時間に1回は室内を歩く。

 

可動性

体位を変えたり整えたりできる能力

1.全く体動なし

介助なしでは、体幹または四肢を少しも動かさない。

2.非常に限られる

時々体幹または四肢を少し動かす。しかし、しばしば自力で動かしたり、または有効な(圧迫を除去するような)体動はしない。

3.やや限られる

少しの動きではあるが、しばしば自力で体幹または四肢を動かす。

4.自由に体動する

介助なしで頻回にかつ適切な(体位を変えるような)体動をする。

 

栄養状態

普段の食事摂取状況

1.不良

決して全量摂取しない。めったに出された食事の1/3以上を食べない。蛋白質・乳製品は1日2皿(カップ)分以下の摂取である。水分摂取が不足している。消化態栄養剤(半消化態、経腸栄養剤)の補充はない。あるいは、絶食であったり、透明な流動食(お茶、ジュース等)なら摂取したりする。または、末梢点滴を5日間以上続けている。

2.やや不良

めったに全量摂取しない。普段は出された食事の約1/2しか食べない。蛋白質・乳製品は1日3皿(カップ)分の摂取である。時々消化態栄養剤(半消化態、経腸栄養剤)を摂取することもある。あるいは、流動食や経管栄養を受けているが、その量は1日必要摂取量以下である。

3.良好

たいていは1日3回以上食事をし、1食につき半分以上は食べる。蛋白質・乳製品を1日4皿(カップ)分摂取する。時々食事を拒否することもあるが、勧めれば通常補食する。あるいは、栄養的におおよそ整った経管栄養や高カロリー輸液を受けている。

4.非常に良好

毎食おおよそ食べる。通常は蛋白質・乳製品を1日4皿(カップ)分以上摂取する。時々間食(おやつ)を食べる。補食する必要はない。

 
摩擦とずれ

1.問題あり

移動のためには、中等度から最大限の介助を要する。シーツでこすれず体を動かすことは不可能である。しばしば床上や椅子の上でずり落ち、全面介助で何度も元の位置に戻すことが必要となる。痙攣、拘縮、振戦は持続的に摩擦を引き起こす。

2.潜在的に問題あり

弱々しく動く。または最小限の介助が必要である。移動時皮膚は、ある程度シーツや椅子、抑制帯、補助具等にこすれている可能性がある。たいがいの時間は、椅子や床上で比較的よい体位を保つことができる。

3.問題なし

自力で椅子や床上を動き、移動中十分に体を支える筋力を備えている。いつでも、椅子や床上でよい体位を保つことができる。

   
  Total
※幅が広い表は横にスクロールできます

©Braden and Bergstrom.1988
訳:真田弘美(東京大学大学院医学系研究科)/大岡みち子(North West Community Hospital.IL.U.S.A.)

2.K式スケール(表4)

 このスケールは「前段階要因」と「引き金要因」で構成されます。前段階要因は、患者がふだんからもっている要因で、「自力体位変換不可」「骨突出あり」「栄養状態悪い」の3項目。引き金要因は「体圧」「湿潤」「ずれ」の3項目。要因の各項目をYes(1点)またはNo(0点)で答えます。合計は「前段階要因」「引き金要因」ともに0~3点になりますが、引き金要因が1つでも加わると発生リスクが高くなります。

 わが国のガイドラインでは、高齢者のリスクアセスメント・スケールとして推奨度C1」となっています。

表4 K式スケール

表4 K式スケール

3.OHスケール(表5)

 このスケールは寝たきり高齢者・虚弱高齢者を対象として得られた褥瘡発生危険要因を点数化したものです。「自力体位変換能力」「病的骨突出」「浮腫」「関節拘縮」の4項目について点数を付け、合計点数でリスク評価をします。合計点数1~3点は軽度レベル、4~6点は中等度レベル、7~10点は高度レベルになります。ガイドラインでは、K式スケールと同じように、高齢者のリスクアセスメント・スケールとして推奨度C1」とされています。

表5 OHスケール

表5 OHスケール

4.厚生労働省危険因子評価票(表6)

 日常生活自立度がBまたはCの対象者に、危険因子評価票を用いた二者択一の評価を行います。項目は、「基本的動作能力」「病的骨突出」「関節拘縮」「栄養状態低下」「皮膚湿潤(多汗、尿失禁、便失禁)」「浮腫(局所以外)」の6項目です。点数化されていないため、1つでも「あり」あるいは「できない」項目があれば看護計画を立案します。

なお、この危険因子のうち「浮腫(局所以外)」は、平成30年度診療報酬改定により、「皮膚の脆弱性(浮腫)」「皮膚の脆弱性(スキン-テアの保有、既往)」となりました。褥瘡の危険因子に「スキン-テア」が入ったことになります。(詳細は、特集「ますます注目を集める「スキン-テア」 褥瘡の危険因子となったことで一般ナースもアセスメントが必要に」で詳しく紹介しています。)

 ガイドラインでは、上記2つのスケールと同様に、高齢者のリスクアセスメント・スケールとして推奨度C1」となっています。

表6 厚生労働省危険因子評価票

表6 厚生労働省危険因子評価票

5.その他のリスクアセスメント・スケール

 上記の代表的なリスクアセスメント・スケールの他に、ガイドラインで「推奨度C1」とされているスケールに以下のようなものがあります。

  1. ①ブレーデンQスケール:小児患者
  2. ②SCIPUS(spinal cord injury pressure ulcer scale):脊髄損傷者
  3. ③在宅版褥瘡発生リスクアセスメント・スケール(在宅版K式スケール):在宅療養者

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