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ナースが知っておきたい 栄養の基本と栄養サポートの進め方
著・若草第一病院 院長 山中英治
2019年1月公開
Part1 栄養の基礎
3.特別な栄養素とはたらき
1) BCAA(分岐鎖アミノ酸)
アミノ酸の構造式に側鎖がありますが、側鎖が枝分かれしている構造のアミノ酸を分岐鎖アミノ酸といいます。分岐鎖アミノ酸はロイシン、イソロイシン、バリンの3種類です。
肝硬変では、血中の芳香族アミノ酸の割合が増加してBCAAが低下します。芳香族アミノ酸が脳内に入ると意識状態が悪化します。さらに肝硬変では肝臓でのアミノ酸の代謝能力が低下して、代謝産物であるアンモニアが処理できずに、高アンモニア血症から肝性脳症になってしまいます。BCAAは筋肉でアンモニアを代謝することでも肝性脳症を改善するといわれています。
骨格筋にはBCAAが豊富に存在します。侵襲時には骨格筋が分解されてアミノ酸になって、エネルギー源や生命維持に必要なタンパク合成に利用されます。このため、侵襲時にBCAAを投与することによって筋タンパクの分解を抑制する効果があるとされています。
BCAA、特にロイシンは、筋タンパクの合成促進と分解抑制にはたらき、筋肉トレーニングやエクササイズと併用することで、サルコペニア(加齢による骨格筋減少症)の予防効果があるとされています。
2) グルタミン
グルタミンは生体内に最も多いアミノ酸です。グルタミンの作用として特に注目されているのは、小腸粘膜のエネルギー源としての作用です。
小腸粘膜は数日間の絶食で容易に萎縮してしまいます。抗がん剤や放射線にも弱く、副作用の消化器症状が出やすい臓器です。グルタミンはこれらの傷んだ腸粘膜の再生に有効な栄養素といわれています。
3) アルギニン
アルギニンは核酸や一酸化窒素(NO)の前駆体であり、成長ホルモン分泌促進作用もあります。NOは血管拡張作用があるので組織の血流がよくなります。これが栄養ドリンクに配合されている理由でもあります。
4) n-3(ω3)系脂肪酸
魚油に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)、シソ(エゴマ)油に多いα-リノレン酸が、代表的なn-3系脂肪酸です。
n-3系脂肪酸は抗炎症作用があり、組織保護作用もあって、魚を多く食べる日本人は欧米人に比べて心筋梗塞が少ないとされています。

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