ナースが知っておきたい 栄養の基本と栄養サポートの進め方

著・若草第一病院 院長 山中英治

2019年11月更新(2019年1月公開)

Part3 経腸栄養

1.経腸栄養剤の種類と適応

経腸栄養剤を主に窒素源の構成成分で分類すると、半消化態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤があります。半消化態栄養剤は窒素源がタンパク質、消化態栄養剤はペプチド、成分栄養剤はアミノ酸です。

半消化態栄養剤は少し消化の必要がありますが、経口摂取も可能な食品扱いの製品も多いです。保険適用の医薬品にはエンシュア®・H、ラコール®NF、エネーボTM、アミノレバン®EN、イノラス®などがあります。
消化態栄養剤はほとんど消化の必要がありません。ツインライン®NF、エンテミール®R、ペプチーノ®などがあります。
成分栄養剤は消化の必要がなく、クローン病の治療にも用いられます。代表的なものとしては、医薬品のエレンタール®が挙げられます。

経腸栄養剤の種類と特徴を表1に示します。

表1 経腸栄養剤の分類とその特徴
表1 経腸栄養剤の分類とその特徴の参照画像

経済的理由で、入院中は食品扱い、在宅では医薬品扱いの栄養剤が用いられることも多いです。
最近は半固形化栄養剤が、生理的で、注入時間の短縮や下痢の軽減、胃食道逆流の軽減などに有効なケースがあるとして、PEGからの注入によく用いられています。病態別に栄養素の組成を工夫した病態別栄養剤もあり、糖尿病用、腎不全用、呼吸不全用などが販売されています。

多くの栄養剤は1kcal/mLで、維持量、たとえば1600kcal(1600mL)を投与することで、エネルギー以外にも必要な栄養素が十分に摂取できる組成になっています。つまり維持量を投与しなければ、長期になると、必要な栄養素の欠乏症になるリスクがあります。
最近は、高齢患者などで多くの水分が摂取できないケース用に、1.5kcal/mL以上の高濃度製剤の種類も増えました。

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