2023年9月公開
運動中、活動筋での酸素摂取量に影響を与える因子について見てみましょう1。酸素摂取量は心拍出量と末梢での酸素利用能の積で表されるため、心拍出量と動脈血中の酸素含量・静脈血中の酸素含量に影響されると言われています。それらに関連する因子について見ていきましょう。
心拍出量(CO)は1回拍出量(SV)と心拍数(HR)の積であり、SVは心収縮能・心拡張能・前負荷・後負荷・房室連関によって規定されています。心収縮能に影響を及ぼす因子にはカテコラミン(収縮能を亢進)・βブロッカー(収縮能を減弱)があり、注意を要します。心不全や心筋梗塞があると収縮能は減弱しますが、運動療法を行うと改善するようです。心拡張能を低下させる因子としては、心筋肥大・心筋虚血・糖尿病・肥満・加齢・女性などがあります。運動療法を行うと、血糖改善・インスリン抵抗性改善・炎症改善などにより拡張能は改善すると言われています2。また、それ以外にも、心房細動はSVを20%減少させ、三尖弁逆流や僧帽弁逆流は運動強度が強くなるにつれて連続的に増悪することがあるなどのリスクについても、十分に理解する必要性があります。
骨格筋線維はミトコンドリア含有量が大きいtype I fiberとミトコンドリア含有量の少ないtype II fiberに分類できますが、心不全ではtype II fiberの割合が増加するため、酸素摂取量が低いです。有酸素運動を行うとtype II fiberの割合が増えると言われています。
心拍出量や骨格筋の質・量が正常でも骨格筋への血流が低下していると酸素摂取量は低下します3。末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)があると、動脈硬化による狭窄のために運動に必要な血流量を供給できません。運動療法を行うと側副血行路の発達などによって血液供給量が増加し、酸素摂取量も増加します。
肺動脈性高血圧症や慢性肺動脈血栓塞栓症のような肺血流制限があると酸素摂取量は低下します。
心ポンプ機能、骨格筋機能、血流が正常でも呼吸機能が低下していると、運動中の酸素摂取量は低下します。代表的な例は肺気腫です。
酸素はヘモグロビンと結合して運搬されるため、貧血があると酸素摂取量が低下します。
喫煙により一酸化炭素が発生し、一酸化炭素は酸素よりヘモグロビンへの親和性が高いのでヘモグロビンに結合します。結合の程度に応じてヘモグロビン1つ当たりの酸素輸送能力は低下しますが、ATまでは血流量は十分に確保されているため酸素供給に影響は少なく、喫煙してもATは低下しないようです。ただし、AT以上の活動レベルになると酸素輸送能力が骨格筋の酸素摂取量を規定するため、peak VO2は喫煙により低下するとされています。
引用文献
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