Part5透析患者の運動療法開始にあたって

例えば、手術など身体にとってストレスのある治療を施す前には、通常、術前検査を行います。麻酔や手術・周術期といった一連の過程に身体が耐えられるかどうかを検討するためです。術前検査とは、その患者のリスクを評価し、身体機能が必要十分なレベルに達しているかどうかを確認する作業です。たとえ多少条件が厳しくとも、健康を回復するためにその手術が必要なら患者側も医療者も実施する決断を下すでしょう。

運動療法も基本的には同じです。運動前に問診・診察・検査によってリスクを評価して、リスクが大きければまず専門医による評価（他科受診）をお願いし、運動負荷試験の結果、運動の可否を決定し、筋力等も調べて運動処方のための根拠を集めるのです。運動負荷試験を行って初めて洗い出される問題点（循環器・呼吸器・運動器）もあります。これら一連のプロセスがメディカルチェックと呼ばれるものです。

メディカルチェックは、大きく2つのプロセスに分かれます。①運動をさせてもいいかというリスク評価と、