2023年9月公開
透析患者の体力に関しては、以下のような報告があります。
これらのことから、透析患者の体力は健常人のおよそ半分以下ということがわかります。
花房ら5の2020年の施設調査報告によると、慢性透析療法を受けている患者数は347,671人で、近年、患者数の伸びが鈍化しているとはいえ、前年比3,031人増となっています。また、患者調査による集計では、平均年齢は69.40歳で、最も割合が高い年齢層は70~74歳でした。70歳未満の患者数は2017年から減少していることから、わが国の慢性透析患者数の増加は、70歳以上の患者数の増加によるものであることがわかります。
透析患者の原疾患で最も多いものは糖尿病性腎症(39.5%)、次いで慢性糸球体腎炎(25.3%)、腎硬化症(12.1%)、原疾患不明(10.2%)でした。糖尿病と腎硬化症は持続的に上昇し、慢性糸球体腎炎は直線的に減少しています。
透析患者の死亡原因は、多いほうから順に心不全(22.4%)、感染症(21.5%)、悪性腫瘍(9.0%)、悪液質/尿毒症/老衰等(6.2%)、脳血管障害(5.9%)、心筋梗塞(3.8%)でした。心不全・脳血管障害・心筋梗塞を併せた心血管死は32.0%に上ります。また、2019年末より世界中に蔓延した新型コロナウイルス感染症は、透析患者さんも例外なく罹患し、一般人口と比べて重症化率・致死率共に高いという状況は、皆さんもよくご存知のところです。
私ども才全会の血液透析患者の安静時間について調べた結果をお示しします(図5)。図中の青い部分は睡眠を含めて横になっている時間を表し、緑の部分は座っている時間を表しています。年齢とともに安静時間が増えていきますが、1週間(168時間)のうち40歳代でも106時間(約63%)、80歳代以上では、実に140時間(約83%)も安静にしているということがわかりました。透析患者にヒアリングをすると「とにかくじっとしていたい」という言葉がよく聞かれましたが、これは1回当たり4~5時間の透析治療が週に3回あり、透析後も倦怠感が続く患者が多いことが一つの要因になっていると考えられます。
これらのことから、我々が運動療法を提供しようとしている透析患者という集団は、高齢・低体力で安静時間が長く、原疾患として糖尿病や高血圧症などを有し、死因となる心血管疾患や感染症を併存しやすい集団であるということがわかります。
引用文献
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透析患者の運動療法
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