2024年3月公開
看取りとは、単に人が亡くなることではなく、家族や親しい人との人生を終えるために、逝く人と見送る人が人生の物語を振り返る中で、人生の荷物をおろし、生物学的な死を穏やかに迎えることです。
看取りとよく似た言葉に「ターミナルケア(終末期ケア)」があります。ターミナルケアとは余命数か月と診断された人に対し延命のために行う積極的治療ではなく、身体的、精神的苦痛を緩和し、望む場所で生きるために受けるケアを示します。そのケアでは本人の生活の質(QOL)が重視されます。
余命数か月と判断された状態を終末期といいますが、具体的にはどのような状態を終末期とするのでしょうか。終末期は「終末期医療に関するガイドライン」1において、次の3つの条件を満たす場合をいうと定義されています。
(文献4より引用)
つまり、「終末期」の状態は客観的な根拠をもって判断されなければならないとされているのです。具体的には、残された時間が数週間から6か月程度と考えられています。
がん患者の場合、この時期は苦痛が緩和されれば、ほぼ通常の暮らしを営めます。予後1か月程度と診断される時期は、生活の中で介護を受ける場面が少しずつ増え、食欲も低下し、日中横になって過ごす時間が多くなります。さらに病状が進むと終日臥床し、がん性疼痛の訴えや食欲の低下が目立ち、介護を受ける場面が多くなります。
老衰の場合、この時期の見立てについて、「なごみの家」では体重、食事摂取量、BMIの低下をもって予測しています。これは川上嘉明氏の研究に基づくもので、BMI、食事摂取量、水分摂取量の3つが虚弱高齢者の死亡予測因子であり、BMIは死亡の5年前から、食事摂取量は死亡の6か月前から、水分摂取量は1か月前になって不可逆的に激減に減少することを明らかにしています2,3。
「なごみの家」でも亡くなる前にBMIが減少することを経験しており、定期的に計測して、表にして家族と一緒に推移を見守り、自然な経過を尊重する方針としています。
老衰であってもがんと同じく、身体的な苦痛(動けないことによる苦痛)や排便習慣、褥瘡予防などに注意しながら、生命力の消耗につながる事柄をケアで解決できるように心掛けています。
看取りとターミナルケアは、そのプロセスにおいて重視する点に多くの共通点があります。例えば、時期の見立てもそうですし、本人や家族との話し合い、尊厳の遵守、苦痛の緩和、家族へのケアなどが挙げられ、大きな違いはありません。提供される医療の種類によって区別されるものでもありません。ターミナルケア、終末期ケアとほぼ同義語として用いられます。
看取りやターミナルケア、終末期ケアに共通して大切なことは以下のとおりです。
引用文献
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