2024年3月公開
国立社会保障・人口問題研究所の報告では、日本の将来推計人口(R5年推計)では、50年後の総人口は現在の7割に減少し、65歳以上の人口は4割に達すると推計されています1。
2025年問題では、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になり、医療、介護、年金などが限界に達するといわれてきました。超高齢社会はその後も続き、2045年には団塊の世代が90歳代の後半、昭和46年(1971年)頃に出生数が増加した年代が70歳代前半となります。年間の死亡数は2040年ごろがピークを迎えると考えられており、このまま低い出生数で死亡数がピークを迎える場合、総人口の規模はさらに縮小していきます。
こうした人口構造の変化は「人手不足」としてさまざまな職場で深刻化しています。AIやロボットを使った対応では限界がある在宅医療や在宅看護、介護を担う人材の確保が困難となり、在宅介護や施設でも危機的な状況を迎えることになります。
人口減少や高齢化の進展による人口構造の変化に対応するため、「病院完結型」から「地域完結型」の医療提供体制へ、「地域包括ケアシステム」から「地域共生社会」の構築が進められています。
そのような中、看取り加算や在宅ターミナルケア加算の件数を見ると在宅での看取りは少しずつゆっくりと増えており、在宅医療を担う医療機関、特に在宅療養支援病院は近年大幅に増加しています2。ところが、在宅療養の継続に不可欠な家族の存在や、その家族を支える専門職の不足から、在宅看取りは今後も急速に増加するとは考えにくい状況です。
在宅看取りのケースが今後増えていくには在宅医療の普及が必須ですが、そこにはさまざまな課題があります。厚生労働省が2018年に行った調査によると、地域の診療所で在宅医療を維持・推進するうえでの課題として、以下のような点が挙げられています3。
厚生労働省は今後の在宅医療の提供体制に求められる医療機能として、次の4つを挙げています4。
これらの機能を整備するには地域が一体となることや多職種連携の整備が必要です。
特に4つめの看取りについては、質の確保も考える必要があると思います。病院では医療に期待をもつ患者や家族の意向を尊重し、終末期にあっても積極的な治療が選択されることがあります。その結果、治療の継続が困難になった段階で自宅に戻られ、わずか1、2週間で看取りを迎える事例を多く経験します。
最期まで病院で可能な限りの医療を受けるのか、住み慣れた場所で身体や心に苦痛なく過ごすのかなど、治療方針に対する希望は1人ひとり異なります。本人にとって最善の方針をとれるよう、医療・ケアチームが医学的妥当性や適切性をもとに慎重に判断し、本人や家族と対話を重ね、意思決定支援に取り組む必要があります。最終的には「この選択でよかった」と思えるようにサポートするプロセスが、看取りの質を高めると考えています。
引用文献
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