2024年3月公開
家族は家で自然に看取りたいと考えていても、看取りそのものがよくわからないという不安から断念するケースもあるでしょう。看取る世代はもちろん、看取られる側の団塊の世代ですら、自宅で家族を看取った経験をもつ人が少なくなっています。そのため、自らの死期が迫ったときに医療に頼りたいという思いが根強く残るのかもしれません。
日本財団の調査でも、親が自宅で最期を迎えることを望んだときに心配な点や困りそうな点は何かを子世代に質問したところ、「どのくらいの期間が必要かわからない」「何をしたらよいかわからない」といった回答が多くありました1。
また、子世代は、親が人生の最期をどこで迎えたいかを考える際に「積極的な医療を受けられること」や「可能な限り長生きすること」「少しでも延命できるようあらゆる医療を受けられること」を望んでいると回答していますが、親世代は子が思うほどそれらを望んでいないこともわかっています1。
また、「子どもの迷惑にはなりたくない」と考える親世代が「1人でも自宅で過ごせたら」と願う気持ちに寄り添うには、近隣住民との日ごろの付き合いや友人関係が大切な資源になり得ます。医療関係者や介護にかかわるチームは、患者が暮らすコミュニティの特徴にも関心をもつとよいでしょう。そして、家族と対話を重ね、両親の最期をどのようにマネジメントするのかが専門職の重要な役割です。
統計上、死亡場所として医療機関が圧倒的に多い状況は変わりませんが、施設での看取り数も増加傾向にあります。その背景の1つに、介護報酬において介護老人福祉施設での「看取り介護加算」が点数化されたことがあります。介護報酬での評価が、施設での看取り体制への取り組みを促すきっかけになりました。
日本財団の調査1や厚生労働省の調査2においても、施設(有料老人ホームや特別養護老人ホームなど)での看取りを希望する割合は全体の1~4%程度です。非常に少ない割合ですが、長い時間一緒に過ごしてきた友人や職員に見送られるのは、看取りの質における課題は残るものの、本人と家族にとっては望ましい在り方といえるのかもしれません。
引用文献
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