2024年3月公開
在宅看護の現場では、本人の表情や様子を観察し、些細な変化を見逃さず、本人からの訴えがなくても病状の変化をキャッチすることが大切です。例えば、「24時間を通して眠る時間が多くなった」「食事の量が減った」など、今の状態をアセスメントして具体的なケアの提供につなげます。食べられなくなれば、本人、家族の希望を訊ね、医療者としての見解を伝えます。小さな希望であっても実現のために話し合います。
特に慢性疾患の場合、輸液を希望される家族もいますが、本人の意思を一緒に確認して決定するようにします。食事ができなくなることは、本人・家族にとって「死」を意味し、不安が大きくなります。「最期だから食べなくてもよい」と考えるのではなく、声をかけ「何か食べてみませんか」と訊ねると、口当たりのよい氷菓(アイスキャンデーなど)やスイカであれば数口でも食べてみようかと思い、口にされます。その積み重ねが希望につながることもあります。また、「食べられるものを、食べられるだけ、食べられるときに」準備できる柔軟さが在宅には備わっています。
在宅だからこそ実現できる看取りケアがあります。本人の生命を維持する力を見極め、ケアをマネジメントし、常に本人や家族、他職種ともコミュニケーションをとりながら、看取りケアに取り組んでいただければと思います。
Part8暮らしの場における看取りケアの実践
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