2024年12月公開
4.食欲不振と摂食嚥下障害
1.食欲不振の基本知識(原因として考えること)
食欲不振の原因は非常に多岐にわたります(表1)。「日常生活において支障をきたしている」「病的体重減少(6か月で5%以上)を伴う」場合は介入が必要です。
原因が1つではないことが多いため、多角的なアプローチが必須となります。そのため、医学的なアプローチだけではなく、生活面からのアプローチも必要です。訪問看護師は両者のアプローチができる重要な立ち位置と言えます。
表1 食欲不振の原因
横にスクロールしてご覧いただけます。
疾患 |
悪性腫瘍、精神疾患、電解質異常など |
生活因子 |
立地的問題(近くに買物できる場所が限られる等)、調理者の技術や味付け、経済的な問題、生活環境(衛生面、調理器具、虐待など) |
口腔内の問題 |
歯科要因(う歯や歯槽膿漏などの疾患、義歯トラブルなど)、味覚障害、咀嚼能力の低下、舌炎 |
薬剤 |
処方薬の種類や投与量、相互作用、サプリメント |
嗜好 |
アルコール常飲 |
本人の要因 |
生来の気質(食へ対する欲求の程度や好き嫌い、偏食)、加齢に伴う心身の機能低下(嚥下機能含む)や認知機能の低下 |
食欲不振の原因の1つとして、摂食嚥下障害が挙げられます。薬剤が原因となる場面は多いので、食欲不振と摂食嚥下障害を見たら一度は薬剤性を疑い、可能な範囲で薬剤の変更や減量を検討する、という思考プロセスが必要となります。
2.薬剤性の食欲不振
薬剤性の食欲不振は、いくつかに大別することができます。特に高齢者は、若年者と比べると薬剤の分解・代謝能力が低下しているため、以下に挙げる4つの要因によって薬剤性の食欲不振が起こりやすいです。また、脱水や感染症といったイベントを契機に顕在化するケースもしばしばみられます。各々について順に述べていきます。
1薬剤の主作用によるもの
表2に示した薬剤は、食欲を落とすことで血糖値とHbA1cを低下させます。これらを開始してから食欲不振が出現しても、想定される事態と言えるでしょう。ただし、冒頭に述べたように、生活に支障をきたすほどの食欲不振が出現する場合は、すみやかに主治医に相談すべきです。
表2 食欲不振につながる薬剤(主作用)
横にスクロールしてご覧いただけます。
病態 |
薬剤例 |
GLP-1作動薬 |
リベルサス、トルリシティ、オゼンピック、ビクトーザなど |
GIP/GLP-1作動薬 |
マンジャロ |
2薬剤の副作用によるもの
薬剤の副作用として食欲不振が出現する場合や、嚥下障害などさまざまな病態を起こしてその結果食欲不振となる場合があります。非常に多くの薬剤がこれらの原因となります。代表的な薬剤を表3にまとめます。
これらを覚えることは現実的ではありません。重要なことは、
「ディアケア」に
会員登録(無料)すると
できること
限定コンテンツ
実践のコツや記事などの
「限定コンテンツ」が見られる!
資料ダウンロード(PDF)
一部の記事で勉強会や
説明など便利に使える資料を公開中!
ケア情報メール
新たなコンテンツの
公開情報や、ケアに役立つ情報をお届け!
【有料サービス】「ディアケア プレミアム」に
登録するとできること(月額800円~/無料お試しあり/法人利用も可能)
実践ケア動画
エキスパートのワザやコツが
学べる動画を多数掲載!
期間限定セミナー動画
各分野のエキスパートが登壇。
1回約15分で学べる!
電子書籍
書店で販売されている本や、
オリジナル書籍が読み放題!