2024年12月公開
7.睡眠障害(過鎮静・不眠)
1.睡眠障害の基本知識
高齢者の睡眠に対する訴えの多さは、皆さん実感として感じているのではないでしょうか。日本は言わずと知れた超高齢社会です。日常診療のなかで高齢者からの「夜眠れない」「昼間寝てしまう(寝すぎ)」といった訴えに遭遇する機会はすべての診療科で増えています。眠れないなら睡眠薬、という流れに自動的に反応してしまう前に、考えておくべき大切なことを一緒に勉強しましょう。
高齢者の睡眠に対する訴えの多さは、皆さん実感として感じているのではないでしょうか。「眠れない」「寝すぎ」どちらもよく聞くと思います。眠りの変化の訴えが、認知機能障害や、別の疾患の症状のうちの1つとして、表(おもて)に出ていることもあります。
睡眠障害には、以下のようなものが挙げられます。
- 睡眠の異常:一次性心因性に生じた状態で、睡眠の量、質あるいは時間的調節の障害が優勢なもの。すなわち、不眠、過眠、睡眠・覚醒スケジュール障害
- パラソムニア(睡眠時随伴症):睡眠中に生じる挿間性の異常現象。睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病)、睡眠時驚愕症(いわゆる夜驚症)、悪夢障害、レム睡眠行動障害、むずむず脚症候群
- 呼吸関連睡眠障害群:睡眠時無呼吸症候群、睡眠関連低換気等
文献1、2参照
このように、「眠れない」「寝ても眠たい」という訴えのなかにも、例を挙げると非常に多彩な病態が認められます。
2.高齢者の生理的睡眠と、不眠(の訴え)の原因
「若いときと比べて眠れなくなった」「昔のようにぐっすり寝たい」、患者さんからのそのような訴えに出会うことは、みなさんの実感として、とても多いのではないでしょうか?
そもそも、高齢者の生理的な睡眠の特徴として、以下のような傾向が挙げられます。
- 入眠までの時間がかかる
- 床に就いている時間は長いが、トータルの睡眠時間は短い
- 中途覚醒、早朝覚醒も多い
- 浅い眠りで、尿意や騒音等で容易に目覚める
- 満足感が低い
つまりは、横になっている時間は長いけど、寝つけないし、寝てもトイレや物音などで容易に目覚め、寝た気がしない、という不満がたまる、という状態です。
高齢者の不眠の訴えの原因として代表的なものを表1にまとめます。
表1 高齢者の不眠の訴えの原因
横にスクロールしてご覧いただけます。
活動性の減少 |
・医学的要因:ADLの低下、既往症(麻痺等) ・社会的要因:フレイル、社会参加の減少、定年退職 ・上記いずれにしても、外にほとんど出かけない、といった生活になりがち |
夜間頻尿 |
・尿意で夜中に何度も目覚めることがある |
内服・嗜好品 |
・コーヒー、お茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶)などからのカフェイン摂取 ・降圧薬のβブロッカーの内服で不眠が出ることがある |
服薬アドヒアランス、内服のミス |
・すでに睡眠薬の処方を受けている場合に、適切に内服ができていないことがある ・内服しないで寝てしまい、不適切な時間に内服することでバランスが崩れていく、などが見受けられる |
環境の変化 |
・通常は眠れないと訴えることが多い。環境の調整も大事 ・同居者との生活リズムのズレ―例えば夜更かしの若者と早寝早起きの高齢者等では生活リズムにズレが生じ、不眠の訴えにつながることがある |
抑うつ状態、むずむず脚症候群等 |
・「眠れない」という訴えが、ほかの疾患の1つの症状である可能性も考えられる |
このようにさまざまな要因がありますが、
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