2024年12月公開
最も大事なことは「何をもって最適とするのか」を考え、チーム内で統一することです。多くの場合、医師は病状の安定化や再燃予防、苦痛の緩和、合併症や再入院の予防といったような医学的に最適と思われる処方を行います。一方で、処方される側の患者は、医師と同じように医学的に最適と思われる処方をされて内服することを最適と考える方もいれば、値段が安いこと、1日の錠数や内服回数が少ないこと、飲みやすい剤形であることなどを最適と考える方も多くいます。
このように、処方する側とされる側の思惑にギャップがあることはしばしばあります。それに気づくのは患者家族や介護職、ケアマネジャー、看護師です。そして生活面・介護面・医学面すべての視点から考え、判断できるのは看護師の大きな強みです。
患者本人・家族、介護職から、処方薬に関する困りごとや考え、実際の服薬の様子に関する情報を収集し、状況に応じて薬剤師ともそれを共有し、医師に報告するといったプロセスが非常に重要です。このプロセスを繰り返し経ることで、処方が最適化されていきます。
図1に示す、「医学的な最適」と「生活における最適」の両者を考えることが重要です。
副作用とは「薬を服用した際に出現する望ましくない作用」のことです。そのため、患者が薬を服用した後に訴える症状や、患者本人は気づいていないが周囲が気づく症状に関して情報収集し、薬剤師や医師に報告することが望ましいです。
その症状がどの薬の副作用なのか、さらには本当に副作用なのかについては、薬剤師と医師が考え、判断することになります。看護の視点として重要なことは、「患者が薬を服用したことによって、新たに何らかの異変や苦痛が出現し、生活に影響が出ている」ということに気づき、報告することです。介護職や家族にも、気づいたことがあれば伝えてもらえるようお話ししておきます。何か異変があると薬のせいにしたがる患者さんも少なからずいるので、そういった考え方・価値観を知る機会にもなるでしょう。
副作用にはいくつか種類があり(表1)、発生時にはいくつか確認すべきことがあります(表2)。たいていの副作用は軽度で緊急性が低いものですが、なかには緊急性の高い重大な副作用もあります。バイタルサインの異常や苦痛が大きい場合はすみやかに医師に報告し、指示を仰ぎましょう。服用の中止が望ましいかどうかは状況によるため、必ず医師の指示を元に対応しましょう。
表1 副作用の種類
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副作用の種類 | 解説 |
---|---|
内服開始して数日~1週間で出現 | 気づきやすく、被疑薬がわかりやすい |
内服開始して数年で出現 | 気づきにくく、被疑薬がわかりにくい |
高用量で出現(低用量では出現しない) | 例えばステロイドは高用量でしか出現しない副作用がある |
しばらくすると耐性が形成されるもの | 例えばオピオイドによる嘔気は数日~1週間で消失する |
予防薬の服用で防げるもの | メトトレキサート服用時の葉酸 ステロイド服用時のST合剤 ビスホスホネート服用時のビタミンD製剤 など |
表2 副作用発生時に確認すべきこと
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確認項目 | 解説 |
---|---|
用法・用量は適切だったか? | 不適切な用法・用量による副作用の場合、適切な用法・用量を指導することで回避できる可能性がある |
何で飲んだか?(水、お茶、あるいはそれ以外) | 薬によっては一緒に飲むことで効果が増強あるいは減弱することがある (例:特定の薬剤とグレープフルーツジュース、鉄剤と緑茶、酸化マグネシウムと牛乳など) |
市販薬やサプリメントの併用は? | 飲み合わせの悪い組み合わせや、同一成分の過剰摂取となることがある |
いつから、どんな症状があるか? | 薬との因果関係を考える際に重要 |
生活への影響は? | 生活への影響がさほどなくても、比較的緊急性が高いことあり (例:ワーファリン内服後の血尿など) |
副作用発生をどう捉えているか? | 副作用を過剰に心配している人は副作用発生率が高い(ノセボ効果) |
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