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2020/6/17

集団対策としてのフレイル対策の有効性が改めて示唆された

2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発せられた緊急事態宣言により、国民には広く外出・移動の自粛が求められている。このような状況において、運動量の低下に伴うサルコペニア・フレイルの悪化が懸念されている。

大阪府のホームページ「新型コロナウイルス感染症で高齢者の方に気をつけていただきたいポイント」では、「感染を恐れるあまり、外出を控え過ぎると、動かないこと(生活不活発)による健康への影響が危惧されます。“動かない時間”が増えることで、身体や頭の動きが低下してしまいます。歩くことや身の回りのことなど生活動作が行いにくくなったりして、フレイル(虚弱)が進んでいきます。フレイルが進むと、体の回復力や抵抗力が低下し、疲れやすさが改善しにくくなります。また、インフルエンザなどの感染症も重症化しやすい傾向にあります。フレイルを予防し、抵抗力を下げないように注意が必要です。」と呼びかけている。

フレイル対策は、これまでも介護予防の重要な柱の一つとして位置づけられてきた。わが国では健康寿命の延伸を目的とした「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」に関する取り組みが進められており、2020年度からは後期高齢者の健診時にフレイルについての評価項目が設けられた。

しかしながら、フレイルの予防を図ることで、要介護や死亡がどの程度抑制できるかについては、明らかになっていなかった。

この度、東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームは、群馬県の一地域における高齢健診受診者、約1,200人について、平均8年(最大13年)の追跡研究を行い、フレイル及びフレイル予備群と、その他の危険因子(糖尿病、肥満、やせ、腎機能低下、貧血、低アルブミン血症、喫煙、脳卒中既往、認知機能低下)が、要介護発生、死亡リスクの上昇に及ぼす影響を検討した研究成果を発表した。

本研究では、要介護・死亡発生のハザード比(*1)と、要介護・死亡発生の集団寄与危険度割合(*2)を調査している。

本研究によると、特に集団寄与危険度割合においてフレイル及びフレイル予備群の影響が大きいことが明らかとなり、フレイル及びフレイル予備群を防ぐことで、約8年後までの要介護発生を約3割、死亡を約4割減らすことが可能となることが示唆されたのである。

なお、ハザード比も、他の危険因子に加えフレイル・フレイル予備群、さらに認知機能低下や脳卒中の既往が高値であることが示されている。

さらに、年齢別の解析も行い、前期高齢期のほうが後期高齢期よりも要介護発生と死亡に対するフレイルの影響度が大きいことが明らかとなった。

*1 ハザード比:その危険因子をもつ群がもたない群に比べて、要介護・死亡が何倍発生しやすいかを表す指標

*2 集団寄与危険度割合:その危険因子を取り除くことにより、集団全体の要介護・死亡発生が何割減少するのかを表す指標

本研究は、集団対策としてのフレイル対策の有効性を示唆するものであり、同研究チームでは、フレイルを健診にて評価して、フレイルやフレイル予備群と判定された方に対して、フレイル状態の改善、及び要介護化の予防のためのさまざまな働きかけを行うことは、高齢者の健康余命延伸に多いに貢献するものと考えられる、と述べている。

詳しくは、東京都健康長寿医療センターWebサイト(2020年3月25日<プレスリリース>「高齢者全体の要介護発生と死亡にフレイルが大きく寄与、 集団対策としてのフレイル対策の有効性を示唆」参照

動かないことによって生じる筋量低下は、さらなる運動量の低下や食事量の低下をもたらし、ますます筋量を低下させ転倒や寝たきりにつながる悪循環に陥る危険がある。外出自粛が続く今、早めの対処が重要である。

本WEBサイトでも、筋量低下予防や転倒予防につながる室内での取り組みを紹介しているため、ぜひご活用いただきたい。

【関連ページ】

●筋力低下に対する運動療法

https://www.almediaweb.jp/motorsystem/exercise-therapy/

●転倒リスクに気づき、転倒を予防する

https://www.almediaweb.jp/expert/feature/1911/

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