2023/5/23
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけが、2023年5月8日より「5類」へと緩和された。徐々にwithコロナへの流れが進むとはいえ、引き続き基本的な感染対策は推奨されており、特に重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方は注意が必要だ。
重症化リスクの高い方が多く集まる場の1つとして挙げられるのが、透析施設である。一般社団法人日本透析医学会は、COVID-19の感染拡大初期にあたる2020年10~11月に、血液透析患者の予防・診療体制調査を実施した。その後約2年が経過し、変異株の出現による感染者数増加や、ワクチンによる予防対策が広まったことなど、さまざまな状況変化に伴い、透析施設での予防・診療体制も変化してきていることが予想された。これを受け、2022年10~11月にフォローアップ調査が行われた。
本調査は、日本透析医学会および日本透析医会の会員施設4,198施設を対象に行われ、およそ半数となる1,956施設から有効回答が得られた。
COVID-19罹患が疑われる透析患者の診療経験のある施設は、2020年度調査時は58%だったのに対し、今回の調査では97%と、大多数の施設において診療経験があることがわかった。また、COVID-19と確定診断された透析患者の診療歴も84%にのぼり、発症後も他院への転院等はせず(あるいは、できず)、自施設で療養期間中の透析治療を完遂した施設が半数以上を占めていた。それに伴い、隔離環境の作成・工夫(個室隔離、空間的隔離、時間的隔離、対応するスタッフを分ける、など)を行っている施設が前回調査時よりも多い傾向がみられた。
COVID-19患者の受け入れ可能人数は、前回調査時には「0人」と回答していた施設が約7割を占めていたが、今回調査時は大幅に減少し、平均すると3.2名の受け入れが可能とされた。なお、これ以上の受け入れを阻む要因として最も影響が大きいものとしては、「人手が足りない」「隔離スペースがない」が二大要因であることがわかった。
自由解答欄の記載より、診療所(透析クリニック)は隔離スペースや診療体制の問題からできる限り入院加療の希望がある一方、病院側は患者数激増による病床ひっ迫のため軽傷者は診療所で対応してほしいとの意見が見られ、相反する希望が出ていることがわかる。本調査のキーメッセージとして、今後、病院-診療所の連携を強化していく必要があると結ばれている。
詳しくは、下記の一般社団法人日本透析医学会Webサイト参照
https://www.jsdt.or.jp/info/3914.html
【関連ページ】
●COVID-19対応も基本は同じ! 高齢者施設での感染対策の実際
https://www.almediaweb.jp/infection/infection-001/
●看護師が知っておきたい糖尿病 セルフケア支援を中心に
https://www.almediaweb.jp/diabetes_dialysis/diabetes_dialysis-001/
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