2021/1/6
DESIGN-R®の改定版が日本褥瘡学会から正式に公表された。DESIGN-R®は同学会が2002年に策定した褥瘡状態の判定スケールで、臨床現場では在宅の場も含めた多職種共通ツールとして使われている。そもそもは、2002年に発出された褥瘡対策未実施減算の際に必須とされた褥瘡対策チームの多職種が、褥瘡のアセスメントを行うときに共通のスケールが必要であることからDESIGNとして策定された。その後、2008年に、点数の重み付け等の改定が行われ、今回、最新バージョンとして公開された。
今回の改定の主な点は次の2点で、①深さ(D/d)の項目に「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」が追加されたこと、②炎症・感染(I/i)の項目に「臨界的定着疑い」が追加されたこと、である。詳しくは書籍『改定DESIGN-R®2020』に解説されているので、ここでは概要を紹介する。
①深部損傷褥瘡(DTI)疑い
②臨界的定着疑い
このように、DESIGN-R®2020において、「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」が追加されたことによって、従来急性期の褥瘡で見られる水疱や表皮剥離を伴う深部組織の損傷の評価の難しさを補うことが可能になった。また、臨界的定着に注意する指標として「臨界的定着疑い」が追加されたことにより、炎症・感染等の変化に気づかず、同じケア・介入を漫然と繰り返すことで治癒が遅延するのを防ぐ手立てができたと言える。
ただ、2つの項目は、臨床的に比較的高度な概念であることから、実際に現場で定着するためには、より専門的な指導が必要になりそうだ。そのためには、褥瘡に精通した医師や皮膚・排泄ケア認定看護師のような専門性の高い職種の関与が一層重要になるだろう。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・日本褥瘡学会
書名『改定DESIGN-R®2020コンセンサス・ドキュメント』 (ダウンロードが可能)
http://www.jspu.org/jpn/info/design.html
・株式会社照林社
「改定 DESIGN-R 2020 コンセンサス・ドキュメント」 (書籍購入も可能。A4判、32頁)
https://www.shorinsha.co.jp/detail.php?bt=0&isbn=9784796525244
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