2022/12/20
糖尿病性足潰瘍や包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia;CLTI)は、糖尿病の合併症のひとつとして知られている。足部創傷は基礎に循環障害を伴うことが多いことから、起立や歩行によって圧やずれがかかることで状態が悪化し、治療に難渋することが多い。創傷治癒のためには安静と除圧が必要なものの、完治まで車いすの使用や臥床状態が続くと、全身性の廃用が生じ、寝たきりとなってしまうリスクもある。
そのようなときに効果的なのが、装具を活用しての「免荷(off-loading)」である。創傷の状態や患者の足に合った免荷装具を活用することで、圧迫やずれ、せん断を排除しながら、早期からの起立や歩行リハビリテーションが可能となる。
2022年10月、日本フットケア・足病医学会から、免荷の実践的な方法を示した指針が発表された。本指針は以下のような項目から構成されており、現在も足病の治療に用いられているIWGDF(International working group on diabetic foot)ガイドライン2019と日本フットケア・足病医学会ガイドライン2022を参考にまとめられている。
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.足の創傷の特殊性
Ⅲ.免荷(1.免荷の定義 免荷と除圧、2.免荷装具の構造、3.免荷装具の種類)
Ⅳ.創傷治療とリハビリテーション
Ⅴ.創傷部位と免荷方法(免荷装具選択のフローチャートの考え方、踵部に潰瘍がある場合)
注目したいのは、創傷の部位や状態だけにとどまらない、個々の症例に応じた選択の重要性である。本指針でも言及されているが、免荷効果の高い装具を作成したとしても、装具の重さや装着の面倒さが増すほど、アドヒアランスの悪い患者は装着を忌避するようになる。すべての免荷装具は患者が自主的に装着してはじめて効果があるものであり、屋内を含めて適切に使用できるような患者家族教育が必須となる。
装具選択については、「3.免荷装具の種類」に、個々の装具の特徴やエビデンスに加えて、選択・使用時の注意点や患者家族への説明、確認ポイントなどにも触れられている。参照Webサイト内の巻末に記載の「糖尿病性足潰瘍治療における免荷装具選択のフローチャート」と合わせて参考にしたい。
このように個々の患者に適した装具を選択するうえでは、看護師の役割は重要であろう。装具を適切に装着できるだけの巧緻性や可動域が患者にあるかどうかや、リハビリテーションに対する患者の意識、サポートしてくれる家族の存在など、日ごろから患者・家族と接する機会が多い看護師だからこそ気づけるポイントも多いと思われる。ぜひ本指針をご一読いただき、免荷についての知識をアップデートされたい。
詳しくは、下記の日本フットケア・足病医学会Webサイト参照
「足の創傷治療のための免荷方法の指針」
https://jfcpm.org/news/20220908/menka_shishin.pdf
【関連ページ】
●糖尿病性足病変に対する治療・フットケア
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/diabetes/
●糖尿病の「足」を救う 糖尿病足病変と救肢のためのアプローチ
https://www.almediaweb.jp/expert/feature/1703/
●足の健康を守る「フットケア」技術(解説記事)
https://www.almediaweb.jp/skincare-top/skincare-002/
●「ディアケア プレミアム」
足の健康を守る「フットケア」技術(実践ケア動画)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat16/theme001/index.html
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