おわりに

群馬パース大学 看護実践教育センター
認定看護師教育課程 専任教員
板垣 卓美

一部会員限定
ページあり!

2022年7月公開

「今日も一日大変だった。日勤の終わりに研修があって、その後に残業を片づけていたら、もうこんな時間か。あーあ、何か疲れちゃったな。あ、でも、頑張った自分へのご褒美に、コンビニでビールとお菓子でも買って帰ろう! プハー、あー最高!癒された―!」

このようなシチュエーションは、皆さんも経験されたことがあるのではないでしょうか。仲間とご飯を食べに行って他愛のないおしゃべりをすることも、とても良いストレス発散になりますよね。多忙で大変だった一日を振り返ったとき、今日楽しかったことは、おいしいものを食べていたときだけだったな、というようなことが、人生にはわりとあるように思います。つまり、食べることというのは日々得られる人生の楽しみとして相当のウェイトを占めており、その普遍性たるや唯一無二のものとさえ言えるのではないでしょうか。

摂食嚥下障害をもつ人は、苦しい治療やリハビリを頑張りながら、数少ない楽しみであるはずの食事でさえ、経管栄養が選択されて食べられない、または望まない形態の食事を食べざるを得ない、誤嚥の恐怖といちいち戦わなくてはならない、といった苦しみを味わっているのです。そのストレスやいかばかりでしょう。

苦しみを味わうのではなく、食べることによっておいしさを味わったほうが断然幸せなのは、言うまでもありません。摂食嚥下障害の人が少しでも安全に、おいしく、できる限り常食に近いものを食べられるように、皆さんの興味やエネルギーを少しでもこの摂食嚥下障害の分野に向けていただけると、とても嬉しく思います。

【執筆にあたって参考にした文献リスト】

  1. 1.才藤栄一,植田耕一郎監修,出江紳一,鎌倉やよい,熊倉勇美,他編:摂食嚥下リハビリテーション第3版.医歯薬出版,東京,2016.
  2. 2.大渕哲也:座位が変われば暮らしが変わる(基礎から学ぶ介護シリーズ).中央法規出版,東京,2009.
  3. 3.舘村卓:口蓋帆・咽頭閉鎖不全 その病理・診断・治療.医歯薬出版,東京,2012.
  4. 4.舘村卓:臨床の口腔生理学に基づく摂食嚥下障害のキュアとケア 第2版.医歯薬出版,東京,2017.
  5. 5.山田好秋:よくわかる摂食・嚥下のメカニズム 第2版.医歯薬出版,東京,2013.
  6. 6.馬場元毅:絵でみる脳と神経 第4版 しくみと障害のメカニズム.医学書院,東京,2017.
  7. 7.写真でわかる! 1冊で習得する! 嚥下障害エクササイズ&ストレッチ マスターBOOK【第二版】.Gene,東京,2019.
  8. 8.藤島一郎,北條京子,藤森まり子:ナースのための摂食・嚥下障害ガイドブック.中央法規出版,東京,1993.
  9. 9.里田隆博,他:CG と機能模型とわかる! 摂食嚥下と誤嚥のメカニズム.医歯薬出版,東京,2013.
  10. 10.福祉用具シリーズVol.18-福祉用具プランナーが使う-高齢者のための車椅子フィッティングマニュアル.公益財団法人テクノエイド協会,東京.
  11. 11.神山かおる,中山裕子,福田節子,他:薄切りキュウリにおける咀嚼量の増加.Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi 2003;50(8):339-343.
  12. 12.日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食委員会(栢下淳,藤島一郎,藤谷順子,他):日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021.日摂食嚥下リハ会誌 2021;25(2):135-149.
    https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2021-manual.pdf(2022/4/14アクセス)
  13. 13.南谷さつき:臨床実践講座シリーズ「摂食・嚥下障害と栄養管理」連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係.理学療法学 2014;41(1):34-39.
  14. 14.内田学:多系統萎縮症に対する姿勢の改善からみた摂食嚥下リハビリテーション.難病と在宅ケア2017;22(12): 57-60.
  15. 15.吉田剛,他:喉頭位置と舌骨上筋群の筋力に関する臨床評価指標の開発およびその信頼性と有用性.日摂食嚥下リハ会誌 2003;7(2):143-150.
  16. 16.田上祐記,他:姿勢の変化が嚥下機能に及ぼす影響―頚部・体幹・下肢の姿勢設定における嚥下機能の変化―.日摂食嚥下リハ会誌 2008;12(3):207-213.
  17. 17.鈴木哲,小田佳奈枝,他:嚥下時に前腕を置く机の高さが舌骨上筋群の筋活動に与える影響.日摂食嚥下リハ会誌 2011;15(1):25-30.
  18. 18.山本征孝,島田雄宇,椿野稔,他:頸部・肩甲帯の姿勢変化が嚥下機能に及ぼす影響-誤嚥性肺炎の予防を目的とした嚥下補助装具の効果.情報処理学会研究報告 2015;3(7):1-5.
  19. 19.山田恭正:食品用ゲルの破壊による香気成分のリリース 食品テクスチャーと香料化学の接点.化学と生物 2015;53(1):15-17.
  20. 20.海老原覚:TRP受容体刺激及びアロマセラピーによる高齢者摂食・嚥下障害治療戦略.老年期認知症研究会誌 2010:17.
  21. 21.西成勝好:食品のテクスチャーとフレーバーリリース(I).Food Texture and Flavour Release.日本調理科学会誌 2015;48(1):57-69.
  22. 22.小竹佐知子:食品咀嚼中の香気フレーバーリリース研究の基礎とその測定実例の紹介.日本調理科学会誌 2008;41(2):84-92.
  23. 23.Nakagawa T, Sekizawa K, et al:High incidence of pneumonia in elderly patients with basal ganglia infarction. Arch Intem Med 157:321-324, 1997.
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