Part2どんな状態なら食べられる?
ナースが行う見極め法

群馬パース大学 看護実践教育センター
認定看護師教育課程 専任教員
板垣 卓美

一部会員限定
ページあり!

2022年7月公開

3.「唾液が処理できているか」(嚥下反射の有無の観察)を見極める

(1)RSSTが有効な場合とそうでない場合

嚥下には、「嚥下反射」が必要です。嚥下反射の評価として、反復唾液嚥下テスト(repetitive saliva swallowing test:RSST)は簡便なスクリーニング方法として有効です。しかしRSSTのルールを理解して実行できる人以外には正確な評価ができません。そのため、高次脳機能障害や認知症を有する人など、比較的多くの人がRSSTの実施対象から外れてしまいます。したがって、嚥下反射の惹起性を推測する何らかの観察方法が必要です。

(2)唾液嚥下を評価する意義

唾液は、何をしていなくても分泌される「安静時唾液」と、食べ物を見ておいしそうと思ったときや咀嚼などの刺激が入ったときに分泌される「刺激時唾液」に分類されます。高齢者は主に安静時唾液を中心に唾液分泌量が低下しますが、成人であればおおむね1500mL/日前後は唾液が分泌されています。安静時唾液と刺激時唾液の分泌量の割合はほぼ半々なので、経口摂取していない人でもたくさんの唾液が分泌されていることになります。そのため経口摂取していない人でも、この安静時唾液は嚥下する必要があります。

嚥下反射が低下して口腔の唾液が処理できずにいても、分泌された唾液をそのまま口腔に溜めていられるわけではありません。そうしたときの唾液は、体外に漏れ出せば流涎になりますし、咽頭に流れ落ちれば誤嚥のもとになります。流涎がある、口腔に唾液が溜まっている、食事と関係ないタイミングで突然むせる、といった症状があれば、唾液嚥下がうまく行えていない可能性があります。これらに該当する人は、嚥下のベースとなる嚥下反射の低下が疑われます。そのため経口摂取を開始するには、詳細な検査や評価を受けることをお勧めします。

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