2020年1月公開
誤嚥が怖いからといって、入院患者さんなどに絶食を続け、点滴(静脈栄養)で栄養補給をする、という状況は勧められません。以下にその理由を示します。
長期間にわたり絶食を続けると、口腔・咽頭に廃用性の(使用しないことによる)変化が生じ、それらの器官の運動の低下、知覚の低下につながります。
腸管(消化管)を食物が通過しないことで、消化吸収障害や免疫力の低下が起こり、また、bacterial translocation(バクテリアル・トランスロケーション*)を引き起こすリスクが高まる1ことが知られています。
これらの生理的な理由からも、口から食べることはとてもメリットがあります。それだけでなく、“食べること”は生きる喜びや力につながります。
口から食事を摂取できるタイミングを見抜き、摂食嚥下障害の状況をアセスメントし、できる限り早期に経口摂取への取り組みを進める必要があります。
しかし治療のために絶食を継続しなければいけない場合も多いでしょう。絶食中にも行えるケアや、摂食嚥下ケアのスタートを検討したいタイミングを表12に示します。
表1 摂食嚥下ケアをスタートできるタイミング
絶食の理由 | 絶食中のケア | 経口摂取検討のタイミング |
---|---|---|
|
間接訓練(口腔機能向上訓練)を行う | 急性期治療が終了して、全身状態が安定したとき |
|
間接訓練(覚醒していない状態での口腔機能向上訓練/覚醒した状態での口腔機能向上訓練)を行う | 意識レベルがJCSで1桁~II-10、清明で、簡単な指示に従える |
|
口腔ケアと、間接訓練(口腔機能向上訓練、呼吸訓練、排痰法)を行う | 徴候から明確な判断はしにくいため、嚥下造影(VF)、嚥下内視鏡検査(VE)による正確な嚥下機能評価をもとに行うのが安全 |
(文献2より引用)
引用文献
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