2020年1月公開
3.口腔内訓練(のどのアイスマッサージ)
口腔内訓練(のどのアイスマッサージ)
口腔内の訓練は、「嚥下反射が惹起されにくい患者さん」や「繰り返しの嚥下能力が低い患者さん」、「嚥下時の喉頭挙上が不十分な患者さん」に実施します。
その方法として、口腔内に冷温刺激や触圧刺激等を加えることで、嚥下反射を惹起させて行います。刺激によって繰り返し嚥下反射を惹起させることで、嚥下関連筋群の筋力増強と嚥下の協調性を改善させる効果があります。
例として3つの方法を下記に示します。
口腔内刺激訓練
- 主な目的
-
- 方法
-
- 1冷水を含ませた綿棒を用意する
- 2軽く口腔内をマッサージする
- 3唾液の処理がうまくできている(むせない)ことを確認する
- 4患者の好みの味を綿棒に含ませて、口腔内を刺激する
- 注意点・特徴
-
- 唾液での誤嚥が起こりやすくなるため、姿勢調整に注意する
(文献1,2を参考に作成)
のどのアイスマッサージ
- 主な目的
-
- マッサージ効果により嚥下反射を誘発させる方法
- 随意的に嚥下ができない患者や意識が低下している、指示に従えない、開口してくれないなどの患者に行う
- 方法
-
- 1凍らせた綿棒に水をつける
- 2前口蓋弓、舌根部、咽頭後壁の粘膜面を軽くなぜたり、押したりしてマッサージする
- 注意点・特徴
-
- 摂食前の準備として用いる
- 食事中に動きが止まってしまったときの嚥下誘発にも用いることができる
(文献1,2を参考に作成)
冷圧刺激法
- 主な目的
-
- 嚥下反射惹起不全患者を対象に、前口蓋弓に冷温刺激や触圧刺激を加えることで、嚥下反射を惹起させる方法
- 刺激によって繰り返し嚥下反射を惹起させることで、嚥下関連筋群の増強と、嚥下の協調性の改善を期待
- 方法
-
- 1凍らせた綿棒、氷で冷やした間接喉頭鏡、舌圧子、スプーンなどを準備する
- 2口腔腔咽頭境界、前口蓋弓に対して冷刺激を行う
- 注意点・特徴
-
- 絞扼反射、咽頭反射を引き起こしにくい部位として、前口蓋弓に刺激を加える
- 刺激直後の嚥下反射の惹起は早まるものの、持続効果は期待できない
(文献1,2を参考に作成)
参考文献
- 1.都築智美:Part4-3口腔内の訓練をどのように行う?.三鬼達人 編著,改訂版・摂食嚥下・口腔ケア,照林社,東京,2019:98-99.
- 2.三鬼達人:コラム③のどのアイスマッサージと冷圧刺激法の違い.三鬼達人 編著,改訂版・摂食嚥下・口腔ケア,照林社,東京,2019:112.
会員登録をすれば、
Part2~Part5も読めます!
現場でできる! 摂食嚥下(えんげ)ケア