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Part2足の解剖生理の基礎知識

足のナースクリニック 代表
西田壽代

2021年10月公開

(1)足の解剖生理

ヒトの足は全身の体重を支えるために足部がアーチ構造となっています。そして、下肢は細長いながらも強靭な筋肉を備えており、地面に接する足底は硬く厚みのある角層によって保護されています。また、足は「第二の心臓」とも呼ばれており、重力に逆らって中枢に血液を戻すための構造も備えています。これらの形態・機能異常が、足病変へとつながります。

(2)皮膚・爪

足の皮膚構造は、基本的には全身の皮膚と同様であり、表皮、真皮、皮下組織から構成されています(図1a)。表皮の厚さは足背と足底で大きく異なっており、足背は約0.2mmと全身の表皮の厚さとほぼ変わらないのに対し、地面に接する足底は約0.6mmときわめて厚いです。表皮はラメラ構造と皮脂によるバリア機能をもち、乾燥を防いで細菌や異物の侵入防止に働きます。角質層が物理的刺激等で異常に増殖すると、胼胝や鶏眼、肥厚の原因となります。
その他の皮膚付属器として、毛や汗腺などが挙げられます。これらも足背と足底では分布が異なり、足底は無毛でエクリン腺が多くみられます。足背には軟毛・うぶ毛を認めますが、虚血になると脱毛が生じます。

また、爪も重要な皮膚付属器です。角化性の上皮組織で、爪甲、爪母、爪床で構成されています(図1b)。爪は通常1日に0.1~0.15mm伸び、その速度は加齢とともに徐々に低下します。また、健康な爪はやや白っぽい透き通った色をしていますが、加齢とともにやや黄色味がかってきます。
爪の切り方や靴などによる外力で、さまざまなトラブルが生じることがあります。

図1皮膚と爪の構造

a)皮膚の構造
b)爪の構造

(3)

足の骨と関節は図2aのような構造となっています。足趾は末節骨、中節骨、基節骨の3骨から成り、第1趾のみ末節骨と基節骨の2節から成っています。足変形がみられる際は、末節骨と中節骨間のDIP関節(第1趾の場合は末節骨と基節骨間のIP関節)や、中節骨と基節骨間のPIP関節、基節骨と中足骨間のMTP関節などにみられることが多いです。

また、足はアーチ状の構造となっています(図1b)。第1中足骨骨頭と踵骨を結ぶ内側縦アーチ、第5中足骨骨頭と踵骨を結ぶ外側縦アーチ、そして第1中足骨骨頭と第5中足骨骨頭を結ぶ横アーチの3つを形成し、全身の体重を支えています。縦アーチ構造が低下すると偏平足となり、足トラブルの原因となります。

図2足の構造

a)骨と関節の名称
b)足のアーチ構造

(4)筋腱(きんけん)

足の筋腱(図3)は、アーチ構造の保持や関節の安定保持、内外転をはじめとした足の動きに役立ちます。
加齢に伴い筋萎縮やコラーゲン量の低下などが生じると、関節が固くなり転倒等の原因となったり、足変形をもたらすことがあります。

図3足の筋腱

a)外側
b)内側

(5)神経

足の運動および知覚は、坐骨神経から分岐した脛骨神経と腓骨神経の支配を受けます(図4)。
高齢者の足の神経障害でよくみられるのが、糖尿病の合併症として生じる神経障害です。感覚・運動神経障害のほか自律神経障害がみられ、疼痛の知覚異常や温感・冷感の知覚異常、足趾の変形、発汗の低下に伴う乾燥など、さまざまな足トラブルの原因となります。

図4足の神経支配

a)運動神経支配領域
b)知覚神経支配領域

(6)血管

足の血管は図5のような分布となっています。
末梢の血流障害の把握のためには、動脈触知が参考になります。大腿動脈や膝窩動脈、足背動脈、後脛骨動脈などに触れてみましょう(Part3、図7も参照)。
静脈は、重力に逆らって血液を中枢へと戻せるよう、血管内に弁があります。静脈弁に異常が生じると、血液の逆流が起こり、浮腫やうっ血、静脈瘤、潰瘍の原因となります。
高血圧や動脈硬化、糖尿病などの基礎疾患がある方は、下肢の血流障害が生じている可能性が高いため、注意が必要です。

図5足の血管

a)動脈
b)静脈

〈参考文献〉

  1. 1.日本フットケア学会 編,西田壽代 監修:はじめよう!フットケア.日本看護協会出版会,東京,2006.

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