2021年10月公開
患者さんに足のセルフチェックを行ってもらうことで、異常の早期発見・対処につながります。日々の入浴の際や寝る前などに、以下のような点を意識しながら足を見て、触ってもらいましょう。異常があったらすぐに医療者に伝えるように説明します(表1)。患者さん自身のチェックが難しい場合、ご家族に協力してもらうとよいでしょう。
表1足のセルフチェックの例
観察部位 | 観察項目 |
---|---|
足全体 |
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足趾、 足趾間 |
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足背 |
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足裏 |
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爪 |
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皮膚 |
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感覚 |
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皮膚トラブルの予防には、足の清潔を保つことが大切です。毎日の入浴の際に、足を洗浄剤を用いてしっかりと洗い、水分をきちんととったうえで保湿します(Part5-3.足浴参照)。入浴が難しい場合でも、できるだけ毎日足浴を行ってもらい、皮膚の状態を清潔に保てるようにしましょう。
なお、「足をしっかり洗ってください」、と伝えると、ナイロンたわしや軽石などでごしごしと洗う方がいますが、これは皮膚に細かい傷をつくってしまい、かえって皮膚トラブルを招いてしまいます。十分に泡立てた洗浄剤を用いて、やさしくていねいに洗うように伝えましょう。
過度な乾燥や湿潤は皮膚トラブルのもとです。Part5-8.足のスキンケアも参考に、適切に保湿剤を使用しましょう。べたつくのを苦手としたり、家のあちこちに保湿剤がついてしまうのを嫌って、自己判断で保湿剤をやめてしまう方もいます。患者さんに使用感を聞いて保湿剤のタイプを変更したり、保湿剤を塗った後は靴下を履くよう伝え、続けてもらえるような工夫をしましょう。
爪のトラブルは、爪の切り方が原因となっていることが多くあります。長く伸びたままの爪は、靴の中やあちこちにぶつかり、割れたり剥がれたりするリスクがあるほか、肥厚の原因にもなります。逆に爪を深く切りすぎてしまうと、巻き爪や陥入爪の原因となります。
Part5-4.爪のケアでご紹介した正しい切り方を伝え、実施してもらうようにしましょう。
ご自宅では一般的なグリップ型の爪切りを使用されている方が多いと思いますが、使用しやすい反面、脆弱な爪や肥厚爪のケアには向きません。その場合は、爪やすりのみを使って整えるよう指導します。爪の状態によっては無理に自分で切ろうとせずに、専門家に相談するよう伝えましょう。
指先が靴の先に当たっていたり、足の長さや幅が合っていないような靴は、靴ずれにはじまり足や爪の変形、胼胝・鶏眼等の皮膚トラブルを招いてしまいます。加齢とともにこれまで履いていた靴のサイズが合わなくなることもあるため、足にトラブルがある方は、一度専門家にサイズや形、体重のかかり方などをきちんと測定してもらい、適した靴を選ぶことが大切です。足の変形等がある患者さんは、適したインソールの作成が保険適用となることもあるため、専門機関を紹介しましょう。
適した靴を選ぶとともに、正しく靴を履くことも大切です(図1)。座った状態で靴の踵をトントンと床に当て、きちんと踵を靴と合わせます。その状態で、靴紐やマジックテープをしっかりと締め、足が靴の中でずれてしまわないようにします。靴紐を結んだまま靴を脱ぎ履きする方も多いですが、足や足首をきちんと固定できるよう、着脱のつど、締め直すようにしましょう。
靴を履く際は必ず靴下を着用します。また、室内でも靴下を着用しておくことで、保湿やけがの予防につながります。
靴下は通気性のよい綿などの自然素材のものを選びましょう。脱いだ後にゴムの跡がしばらく残っているようであれば、締め付けが強すぎるか、あるいは足にむくみが出ているサインです。
5本指ソックスは足趾間の湿潤状態を予防するのには適していますが、靴を履いた際に圧がかかり窮屈になってしまうこともあるため注意しましょう。
患者さん自身に自分の足に関心をもってもらうことが、セルフケアを続けてもらうための第一歩となります。外来にいらした際やご自宅を訪問した際、患者さんと一緒に足を見て、触ってみましょう。フットケアの前後で足を触ってもらうことで、手触りの変化なども実感してもらえます。足浴やマッサージなどはリラックス効果もあるため、患者さんとコミュニケーションをとりながら、セルフケアの必要性についてお伝えするのもよいでしょう。患者さんの様子をうかがいながら、押し付けになってしまわないよう配慮します。
セルフケアによって足の状態が良くなっていたら、積極的に話題に取り上げることで、患者さんの自己効力感も高まります。なかなか継続につながらない場合でも決して患者さんを責めるような表現はせず、ケアを提供しながらどこまでご自身でできそうかを患者さんと一緒に考えてみましょう。高齢の方や慢性疾患がある方は、加齢や病状の変化に伴い、巧緻性、認知機能なども日々変わっていきます。無理に完ぺきを目指そうとするのではなく、家族や医療者と協力しながら足を守っていくことが大切です。
〈参考文献〉
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