Part1 
ストーマケアで持ちたい「認知症では?」の視点

診断:早期の認知症診断の必要性

執筆・編集 安藤嘉子先生、片岡ひとみ先生、土田敏恵先生、渡邉光子先生、濵元佳江先生

2019年5月公開

これらの徴候に気づいたとき、早期に認知症の診断を確定する必要があります。“認知症の専門医に診てもらったほうがよい”と家族や主治医に提案し、専門外来受診につなぎます。

認知症の徴候のある患者さんでは、認知症という疑い自体を否定して怒ったり、また紹介受診において予約時間を忘れてしまったりと、受診までにもさまざまな困難があります。しかし適切な治療や介入に結びつけるためにも、診断は必須です。“疑い”の段階で受診を提案することに不安はあるかもしれませんが、他の看護師と相談したりしながら、うまく受診へとつなげていきましょう。

現在、65歳以上の高齢者における認知症は、2012年では推定有病者数462万人で約7人に1人の割合(有病率15%)3であったのが、推計では2025年に約700万人に増加、その割合は5人に1人になると見込まれています4。多くの患者さんに起こりうる疾患として私たち看護師が気づき、できるだけ早く受診につなげることが重要です。

事例の方たちは、改訂・長谷川式簡易認知評価スケール(HDS-R)等において認知症の診断を受け、アルツハイマー型認知症と診断され、治療が開始されることになりました。しかし、認知症の治療は“進行を止める”のが目的であり、日常生活はなんとか送っているものの、なかなか改善までは至りませんでした。

〈引用文献〉
3.朝田隆(研究代表者):都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応.厚生労働科学研究費補助金 認知症対策総合研究事業 総合研究報告書(2013年3月).
4.二宮利治(研究代表者):日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究.厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 総括研究報告書(2015年5月).
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