2019年5月公開
認知症の治療は、認知機能障害の改善と患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指して行います。治療には、薬物療法と非薬物療法があり、患者さんの症状に応じて、より適切なほうを選択したり、組み合わせたりして進めていきます。
薬物療法は、特にアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の治療において、認知機能障害の進行の軽減を目的に用いられます。
ただし、高齢者では糖尿病や高血圧など他の疾患を抱えていることも多く、多剤併用の問題を考慮しなければなりません。また、認知機能の低下による飲み忘れなど、服用管理が難しい場合もあり、シンプルな服用方法の検討も求められます。BPSDの症状改善のために向精神薬を使用した場合には、転倒や日常生活動作(ADL)の低下など、有害事象が出現することもあります。
薬物療法では、こうした注意事項をよく検討したうえで、慎重に選択して実施していく必要があります。
認知症の非薬物療法は、いわゆる認知症リハビリテーションと呼ばれる認知機能訓練や運動療法、音楽療法、回想法、アロマテラピーなどがあります。非薬物療法は、特にBPSDに対して有効とされ、ガイドラインでも、薬物療法よりも優先して行うことが原則として記載されています9。
非薬物療法には、リハビリテーションのほかに、1人1人の症状に合わせたケアも含まれます。患者さんが抱える機能障害をアセスメントし、適切な対応をとることで、症状の軽減や悪化を防ぎます。対応には、さまざまな工夫が必要となりますが、患者さんが安全かつ安心して生活できるように環境を整えること自体が治療につながるのです。患者さんの権利を大切にし、その人らしさを尊重するケアが基本となります。
Part1
ストーマケアで持ちたい
「認知症では?」の視点
Part2
知っておきたい
認知症の基礎知識
Part3
認知症患者さんへの対応、
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