Part1 
ストーマケアで持ちたい「認知症では?」の視点

連携:認知症を持つストーマ保有者への退院支援

執筆・編集 安藤嘉子先生、片岡ひとみ先生、土田敏恵先生、渡邉光子先生、濵元佳江先生

2019年5月公開

経験上、認知症の診断がついたストーマ保有者には、ケア変更を提案したとしてもその通りになる方は少ないです。そのような場合、退院後に施設や在宅へ移行したときに、ケアをどのように継続していくかを考えることも重要です。

平成30年度診療報酬改定では、専門性の高い看護師が他の医療機関、あるいは訪問看護師と一緒に訪問看護を行った場合に算定できる「在宅患者訪問看護・指導料」「同一建物居住者訪問看護・指導料」(平成24年新設)の新たな要件として、「人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師による場合」が加わりました5

現状まさに、皮膚・排泄ケア認定看護師の同行訪問において、ストーマ保有者からのリクエストの割合が高くなっています。ただし、同行訪問における算定基準はかなり厳しく、「ABCD-Stoma®(ストーマ周囲皮膚障害の重症度評価スケール)において「A(近接部)、B(皮膚保護剤部)、C(皮膚保護剤外部)の3つの部位のうち1部位でもびらん、水疱・膿疱又は潰瘍・組織増大の状態が1週間以上継続している、もしくは1か月以内に反復して生じている状態」においてのみ診療報酬上の評価がなされるようになっています。

いずれにしてもこれらの制度を活用し、早期退院して、できるだけ自分の過ごしている環境に帰って日常生活が送れるように配慮する、そしてケアは完遂しなくてもよいのでトラブルの起こりにくい装具を選び、認知症症状が少しでもおさまるように期待するのが、退院支援の現実的なところです。

〈引用文献〉
5.厚生労働省:平成30年度診療報酬改定について.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html(2018.12.10アクセス)
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