2023年7月公開
2.看護師が知っておきたい血液透析の実際の進め方
1.透析の準備
1透析機器・物品の準備
透析室に患者が入室する前に、①透析液の作製と点検、②透析機器の作動状態の確認、②血液透析回路と透析器(ダイアライザー)のプライミングと点検、③血液透析に必要な物品・薬品の準備を行います。
2患者の治療開始準備
- a.体重測定
末期腎不全のために透析療法を必要とする患者は、尿の排泄による体液量の調節ができなくなるため、体液量が過剰な状態となります。そこで、適切な体液量のめやすとして患者ごとにドライウェイト(dry weight:DW)が設定されます。DWから増加した体重を計算し、これを過剰な体液量(除水量)としてその日の透析治療で除去するため、透析開始前に体重測定が行われます。また、体重測定の結果は、体調や食事の摂取状況などのアセスメントに利用することができます。
- b.患者の全身状態の把握
体重測定が終了したら、ベッドサイドで以下のような患者の全身状態のアセスメントを行います。
- 1バイタルサイン
- 2バスキュラーアクセス(vascular access:VA)(表2)の状態
- 3食事摂取状況
- 4排泄状況
- 5睡眠
- 6その他の心身状態
- 7服薬状況
- 8他科や他医療施設の受診の有無と内容について測定・観察・問診
また、患者が自己記入している透析ノート(図4)の内容を確認します。
表2 バスキュラーアクセスの種類
横にスクロールしてご覧いただけます。
バスキュラーアクセスの種類 |
特徴 |
自己血管内シャント (arteriovenous fistula:AVF) |
- 患者自身の動脈と静脈を直接吻合して作成されるVA
- わが国では最もよく用いられている
- 狭窄・閉塞、感染、仮性動脈瘤、スチール症候群、静脈高血圧症、高心拍出量性心不全などの合併症がある
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人工血管内シャント (arteriovenous graft:AVG) |
- 患者の動脈と静脈を、人工血管を介して吻合し作成されるVA
- 患者の高齢化や糖尿病を原疾患とする患者の増加により使用率が上昇している
- VA合併症を発症するリスクがAVFにくらべて高い
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動脈表在化 |
- 深部の動脈を表在化して穿刺を容易にしたもの。動脈と静脈の吻合を伴わない
- 上腕動脈が第1選択となる
- 静脈が荒廃した患者、スチール症候群や高心拍出性心不全のリスクの高い患者などに適応となる
- 止血を確実に行い、出血に十分に注意する必要がある
- 末梢組織の虚血や壊死、動脈瘤などの合併症がある
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カテーテル |
- 長期留置型と短期留置型がある
- 右内頸静脈が留置の第1選択部位となる
- 患者の高齢化や糖尿病を原疾患とする患者の増加により使用率が上昇している
- 以下の患者が適応となる。①AVF・AVGの作成が困難な患者、②高度の心不全合併患者、③穿刺困難・透析中の抜針リスクの高い患者(四肢拘縮・認知症など)
- 感染とカテーテルの閉塞が問題となる
|
2.透析の開始
1穿刺
血液透析治療は200~300mL/分の血液を必要とします。そのため、血液透析患者にはバスキュラーアクセス(VA)が設けられています。VAにカテーテルを用いている患者以外の場合、
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