看護師が知っておきたい腹膜炎の予防から発症時の対応
3.予防
外因性感染の予防には、適切な透析液バッグ交換やカテーテル出口部ケア(出口部とその周囲の皮膚を清潔にし、健康な状態に整え、出口部感染を予防すること)1が最も重要です。カテーテル出口部感染やトンネル感染を起こした場合には、早急な治療を行います。内因性感染に関しては、危険因子に留意することで、ある程度の予防が可能です(表2)。
表2 腹膜炎の予防手段
感染経路 |
予防手段の例 |
①経カテーテル感染
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- 透析液バッグ交換時の清潔操作
- ペットによるカテーテル・接続チューブの損傷を防ぐ。損傷の早期発見・早期対応
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②傍カテーテル感染
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- 適切な出口部ケアや入浴後のシャワーでの洗浄
- カテーテルの適切な固定
- 出口部感染・皮下トンネル感染の早期発見・早期対応
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③経腸管感染
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- 便秘の予防、便秘や下痢の早期治療
- 腹腔内・骨盤内検査の際の抗生物質の予防的投与
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④血行性感染
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- 歯科処置時の抗生物質の予防的投与
- 感染症の早期発見・早期対応
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⑤経腟感染
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- 感染症の早期発見・早期治療
- 婦人科処置時の抗生物質の予防的投与
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⑥危険因子
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- 栄養状態を良好に保つ
- 低カリウム血症の予防や是正
- 糖尿病のコントロール、肥満の是正
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4.症状・徴候、診断、治療
1症状・徴候
主要な症状は、腹痛と排液混濁です。初発症状として現れることが多く、早期の診断と治療のために、これらを見逃さないことが重要です。その他の症状としては、①悪心・嘔吐、②発熱(37.5℃以上)、③下痢、④低血圧、⑤透析液排液内へのフィブリンの析出、⑥除水不良などがあります。
2診断
『ISPD腹膜炎ガイドラインに関する勧告:予防と治療に関する2022年度改訂版』によると、