2021年12月公開
看護師は、自らの身体をもって患者さんの身体にかかわり、そのかかわりを通じて患者さんの人間的感情をケアする役割を担っています1。触れることで、相互の理解が深まり、信頼関係を築く効果があることが報告2, 3されており、タッチングの実施が患者さんとの関係を左右する要素の1つといえます。
タッチングをとおして、患者さんと看護師との間で意味のあるメッセージのやりとりがなされていることを示した研究をひとつご紹介します。髙木ら4は、タッチングの相互作用について検討するため、タッチングを行っているときの看護師の気持ちと、タッチングを受けているときの患者さんの気持ちを、逐語録をもとに分析しました。
少人数を対象にした分析ではありますが、その結果タッチを行っているときの看護師の気持ちは「〈安心させたい〉、〈楽にしてあげたい〉、〈傍にいたい〉」というものであって、その看護師の気持ちは患者さんに届いているといいます。他方、タッチを受けているときの患者さんの気持ちについても、たとえ癌性疼痛や呼吸苦などを抱えたストレスフルな状態にありながらも、心身ともに「〈楽になる〉、〈落ち着く〉、〈安心する〉のような安楽な感覚」が得られています。このことから「看護師の気持ちと患者の気持ちは、ズレることなく一致して行き交っていた」と述べられています。
さらに、患者さんは安楽な状態にしてくれた看護師に意識が向き、「〈自分だけのために〉、〈感謝〉、〈涙が出るほど嬉しい〉、〈身内のよう〉といった気持ち」を抱き、この看護師に対する感謝の気持ちや親近感によって「〈元気が出る〉、〈勇気が出る〉自分を感じ、現実と向かい合い前向きな気持ち」を感じていました。
このように、気持ちを伝える効果的なタッチングの提供には「患者の状態を正確に把握し、患者の言葉にならない気持ちを受け取り、患者のニーズを見極めた上での的確な場面でタッチを用いること」が必要である、とのことです。
引用文献
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