2021年12月公開
闘病生活や療養生活ではさまざまな苦痛を伴います。痛みのつらさは耐えがたく、身の置きどころのない痛みによって、不安や恐怖の感情さえ引き起こすことがあります。こうした痛みに対して、さまざまな研究においてタッチングやマッサージが症状の緩和をもたらすことが示されています1, 2, 3。
例えば、西田ら3は、苦痛に対するマッサージの効果を検証するために、被験者に長時間腹臥位を保持してもらい、腰背部痛に対してマッサージを行うグループとマッサージを行わないグループに分けて、主観的評価と脳波、心拍変動の変化を評価しました。すると、マッサージを行ったグループでは、マッサージを行わなかったグループに比べ、リラックス状態を示すα1波とα2波の周波数が優位に増加したそうです。主観的評価においても、快適度が増加し、苦痛度は軽減したと報告されています。
この研究は、腹臥位の姿勢を続けることで生じた腰背部の痛みに対し、マッサージが有効であることを、脳波という客観的な指標を用いて示しています。疼痛を訴える患者さんに対するケアとしてタッチングを取り入れる意義を再認識できます。例えば痛みに苦しむ終末期の患者さんに対して、鎮痛薬の効果が表れてくるまで触れながらともに待つことも大切なケアといえるでしょう。
引用文献
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