Part1“酸素療法”ってどんなもの?

地方独立行政法人 大阪府立病院機構
大阪はびきの医療センター看護部
(慢性疾患看護専門看護師)
平田 聡子

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2022年3月公開

2.低酸素症と低酸素血症の違いは?

注意していただきたいのは、“低酸素症”と“低酸素血症”とは違うということです。“低酸素症”は、「酸素不足のため組織内の細胞のエネルギー代謝が障害された状態のこと」と先述しました。低酸素症を引き起こす原因としては、①動脈血の中に十分な酸素が供給されていないこと、②動脈血中の酸素分圧(PaO2)が正常であっても、循環不全等で組織に十分な酸素が行き渡らないこと、③運ばれた酸素を組織が適切に使用できないこと、などがあります。
酸素療法の有無や酸素流量等を決めるための指標として動脈血酸素分圧(PaO2)が用いられますが1,2、酸素療法を行う際には、PaO2やSaO2だけでなく、ヘモグロビン濃度や循環の状態(心拍出量や組織血流量)も把握しておく必要があります。
一方、低酸素症と一緒に見かけることの多い“低酸素血症(hypoxemia)”とは、動脈血中の酸素が不足して低酸素症を起こす状態をいい、PaO2やSaO2の低下で定義されます。先に述べた低酸素症を引き起こす原因の①にあたり、低酸素血症は低酸素症の原因の一つと考えられます3

引用文献

  1. 1.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会酸素療法マニュアル作成委員会編:第Ⅰ章 酸素療法について-酸素療法とは.酸素療法マニュアル(酸素療法マニュアル改訂版).日本呼吸ケア・リハビリテーション学会,日本呼吸器学会,2017:2-5.
  2. 2.長尾大志:Part1 呼吸のしくみ.まるごと図解 呼吸の見かた.照林社,東京,2017:1-8.
  3. 3.宮本毅治:第1章 酸素療法の鉄則 鉄則3 確実におさえる酸素療法の適応と非適応.月刊ナーシング2015,35(12):28-31.
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