2021年10月公開
足に合わない靴を履き続けることや、糖尿病の合併症として生じる運動神経障害は、足の変形の原因となります。特定の部位に荷重がかかって胼胝や潰瘍を生じやすくなり、それによる痛みがさらなる変形や病変の悪化につながる悪循環に陥ってしまいます。
臨床でよくみられる足の変形を以下に示します。足の骨と関節の名称はPart2の図2をご参照ください。
ハンマートゥはPIP関節が屈曲、DIP関節が伸展した状態です(図1)。足趾が凸型に屈曲し、その突出部が靴などに当たって胼胝や鶏眼が生じやすいです。特に矢印で示したPIP関節の背側に注意が必要です。
クロゥトゥはPIP関節とDIP関節が屈曲した状態です(図2)。IP関節の背側や趾尖部に胼胝や潰瘍を生じやすいです。
母趾が外側(小趾側)に曲がりMTP関節が外側に突出した状態が外反母趾、小趾が内側(母趾側)に曲がりMTP関節が突出した状態が内反小趾です(図3)。MTP関節の突出部に胼胝や靴ずれなどを生じやすいです。原因ははっきりとはわかっていませんが、ハイヒール等先端の細い靴はその誘因といわれています。
糖尿病性神経障害に伴う足の筋萎縮やバランス障害によって、足のアーチが顕著になったような、甲が高く中足骨骨頭部が突出した状態です(図4)。中足骨骨頭部に荷重がかかりやすく、胼胝や鶏眼を形成しやすいです。
自律神経障害によって骨代謝異常が生じることで、外力によって容易に骨折しやすい状態となります。また、靭帯の弛緩や関節不安定などに伴う無痛性歩行が、脱臼などにつながります。これらが複合して足の変形につながります。糖尿病の患者さんは知覚神経障害によって骨折が起こっていても気がつかないこともあるため、注意が必要です。
足根骨の下方偏位や、踵骨足根骨の内側転位などを認めます(図5)。糖尿病の患者さんで、熱感・腫脹・疼痛などがあれば、感染のほかにシャルコー関節も疑う必要があります。単純X線撮影によって骨折の有無などを確認しましょう。
〈参考文献〉
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