2021年10月公開
足の爪は靴による外力を受けやすい部位であり、疾患や変形が生じると歩行にも大きな影響を及ぼします。また、爪切りを患者さんや家族が行っている場合、不適切な切り方で爪の変形や周囲皮膚の炎症を引き起こしていることもあります。ここでは、以下の3つの病態を紹介します。
爪の肥厚は、加齢や物理的な圧迫、足の変形などによって生じます。爪の厚みが増し、色が暗褐色や暗緑色などに混濁する場合もあります(図11)。角質が重積して爪の弯曲を伴うこともあります。
基本的に痛みはないためそのまま放置している方も多いですが、靴を履いた際に圧迫されて痛みが生じたり、見た目を気にして人前で足を出せなくなる方もいます。また、爪が切りづらくなることで爪のケアを怠りがちになり、さまざまな足トラブルにつながることも多いです。
日ごろからのケアでは、肥厚した部分を適切な厚さに削って形を整えます(Part5-5.肥厚爪、巻き爪、陥入爪、爪白癬のケア参照)。足に合った靴を選択することも大切です。
爪の両端が過度に内側に弯曲している状態が巻き爪です(図12)。爪が周囲皮膚を巻き込み、食い込んだ状態が陥入爪であり、痛みや炎症を生じ、悪化すると感染を伴って化膿したり肉芽を生じることもあります(図13)。
主な原因は深爪です。指の長さよりも短く爪を切ることで、爪が伸びてきた際にまわりの皮膚に食い込んだり、爪の弯曲の誘因となります。合わない靴による物理的な圧迫や、足の変形なども関係しています。
化膿や肉芽がある場合は、まずそれらに対する治療が必要です。そのうえで、正しい爪の切り方(Part5-4.爪のケア参照)を続けていくことで、症状の軽減と変形した爪の正常化をめざします。必要に応じて、ワイヤーなどの矯正器具での巻き爪の治療を行うこともあります。
白癬菌による感染症で、足白癬を長期間放置することで爪への感染へと至ります。爪や爪甲下の角質増殖による肥厚や、白濁、脆弱化がみられます(図14)。白癬菌が原因の場合、肥厚した爪を削るだけでは治療には結びつきません。難治性のため、抗真菌薬の外用や内服をきちんと続けることが大切です。そのうえで、足白癬と同様、清潔と他者への感染予防に留意しましょう。
〈参考文献〉
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