Part3心不全の基本を知る

東京情報大学 看護学部看護学科 教授
岡田 彩子

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2024年7月公開

3.急性心不全・慢性心不全の症状:病態との関連

「急性心不全」と「慢性心不全」は、どのような時間経過で起こったか、そしてどのような症状(緊急で対応が必要な)が出現し、どれくらい早急な血行動態の正常化を図る治療が必要かによって区別されます。

(1)急性心不全とは

急性心不全は、急激に心臓のポンプ機能が低下したことにより、緊急に血行動態の正常化を図る必要がある状態に陥った状況です。急性心不全の症状としては、肺うっ血による呼吸困難や起座呼吸が挙げられます。心拍出量の低下が著しい場合は、「代償機構」が間に合わないため、血行動態の急激な悪化から血圧が維持できず「心原性ショック」を引き起こし、心停止に陥る場合もあります。これは生命の危機に瀕する状態で、低還流に対する治療である機械的補助(IABPやPCPS)が必要になってきます。

一口メモ
IABP(intra aortic balloon pumping):大動脈内バルーンパンピング
大動脈内でバルーンを膨らませたり、しぼませることによって循環を補助します。心臓の拡張期(心室の中に血液を充満させるとき)に冠状動脈に血液が送られることから、この時期にバルーンを拡張させることで、冠状動脈や主要臓器への血流が増加します。そして、心臓の収縮期(心室が血液を全身に送り出すとき)は、左室収縮直後にバルーンが急速に縮むことで、心臓が血液を送り出しやすくする(後負荷の軽減)効果を狙っています。
PCPS(percutaneous cardio-pulmonary support):経皮的心肺補助法
体外式模型人工肺を用いて右房内から血液を脱血し、大腿動脈に酸素化された血液を戻すことで、循環を確保しながらも心肺の役割を果たす補助循環です。酸素化された血液の血流量が確保できれば、心臓の機能が止まっている状態に近い状態でも、脳をはじめとした主要な臓器の血流が維持できる効果を狙っています。
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