2024年7月公開
ここでは、あらゆる保健・医療・福祉・介護施設の中で、さまざまなステージの心不全患者の看護を検討していく上で、共通して活用可能な疾患管理を行う際に含まれる要素の分類を紹介します。これは2006年に米国心臓病学会のDisease Management Taxonomy Writing Groupによって提案された、疾患管理の構成を成す8つの要素になります。
慢性疾患の疾患管理は、患者のアウトカムを最大限にできる手段であることは、すでに認識されていますが、実際の疾患管理プログラムは、種類や性質が異なるさまざまな要素から構成されているので、疾患管理(プログラム)における共通した定義がなく、プログラムの比較やその評価は十分できないという課題がありました。今後よりよい疾患管理を展開していくためには、その課題を解決する必要があります。
その手立てとして疾患管理プログラムの構成要素をその種類別に分類するシステムを作成したという経緯があります。
まず、米国心臓病学会の疾患管理の専門家チーム(American Heart Association’s Expert Panel on Disease Management)の作成した疾患管理の定義を紹介します。
「Disease management(疾患管理)とは、ある特定の慢性的疾患やコンディションで苦しんでいる患者集団に対して、多職種が連携して、提供するケアの質および医療費の対費用効果の改善を目指すこと」1
この定義にあるように、心不全のあらゆるステージで苦しんでいる対象に対して、あらゆる環境下で、多職種が連携して心不全患者ケアの質向上や、ケアの対費用効果の改善を目指すことに軸足を置いて、これから変化し続けていく保健医療福祉体制の中で、看護師の立場から患者の疾患管理を考えていく一助となれば幸いです。
異なる医療提供体制や支払制度、対象の病期や状況や地域性等の多様性がある中で、各施設の設置目的・使命や医療提供体制の特性を踏まえながら、今ある難しい状況下で、いかに自分たちの関心のある(果たすべき)アウトカムの達成に向けて、どのような疾患管理の支援が実施可能なのかを考えていく検討項目になるかと思います。
または支払制度やケア提供方法の改正や変更等によって、今まで行ってきた患者支援の方法やマンパワーやお金の配分を変更せざるを得ない状況においても、現状でいかに質を担保しつつ、疾患管理支援を行っていけそうか、どこをどのように変更すれば、自分たちの関心のある(果たすべき)アウトカムの達成を目指せるのか、といった課題解決の糸口をつかむために活用していけるかと思います。いま、私たちが直面している診療報酬の改定を受けての対策も同様で、新たな疾患管理プログラムや支援のあり様を見出す一助となればと考えます。
米国の心臓病学会の提言作成に係るグループによる慢性疾患の疾患管理プログラムをレビューした文献による疾患管理に関する8つの分類項目を図1に示します2。
Harlan M, Peter M, Barbara R, et al : A Taxonomy for Disease Management: A Scientific Statement From the American Heart Association Disease Management Taxonomy Writing Group. Circulation 2006; 114: 1432-1445.引用改変(筆者訳)
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