2023年5月公開
シックデイとは、糖尿病患者が風邪をひいたり、下痢・嘔吐・食欲低下など体調を崩したときのことを言います。一般的に、シックデイではインスリン拮抗ホルモンにより食事をしなくても高血糖になりますが、ときには低血糖になることもあるので注意が必要です。ちなみに、入院患者は体調不良で入院するためシックデイ状態にあると言えます。2型糖尿病で血糖コントロールが良好でも、著しい高血糖になったりケトアシドーシスに陥ったりすることがあります。1型糖尿病ではさらにこれらが起こりやすくなります。ですから、食事がとれなくても自己判断でインスリン注射を中断してはいけません。できるだけ主治医と連絡を取り、指示を受けるようにしましょう。
シックデイルール(シックデイの対応の原則)は表1に示した通りです。自分で血糖値や尿糖を測定している場合は、いつもより頻回に測定し、自分の経過を把握するとともに主治医に報告しましょう。インスリンは自己中止せず、持効型インスリンなら食事にかかわらず必ず注射します。速効型・超即効型インスリンは、血糖値や食事量に応じて調整します。内服薬は少し複雑で、内服薬の種類によって中止や減量が必要になるため、普段から主治医に確認しておくとよいでしょう。当院では、独自のシックデイルールの取り決めを作成し、どこの病棟に入院しても同じ指導ができるよう「シックデイの対処」を印刷できるようにしてあります(表2)。
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