2015年5月公開
ストーマをつくってもミルクや食事についての制限はありません。
新生児・乳児期には母乳やミルクが主となりますが、新生児期や乳児期は便の性状もゆるく、ミルクに比べて母乳のほうがゆるくなる傾向があります。
便がゆるくなるからといって、母乳制限する必要はありません。
母乳には栄養上メリットがありますので、装具やアクセサリーを上手に使用していくとよいでしょう。
装具はにおいが漏れないような防臭構造になっていますので、装具を交換するときやストーマ袋を開けたときににおいが漏れる可能性があります。
学校などで便を処理する場合など、ストーマ袋の中にいれる消臭剤(デオファインパウダーなど)や液体タイプの消臭剤を使用するとよいでしょう。
便がゆるいと漏れを起こしやすくなったり、皮膚保護剤の溶けが早くなる場合があります。
ストーマ袋の中にいれる凝固剤があるので、それをいれるとよいでしょう。
また、水様便が続くようなら、医師に相談し、脱水にならないよう湯冷ましなどの水分をこまめに与えてください。
運動の面からも乳幼児期は発達・活動がめざましいものです。しかし動作は不安定なことが多く、転んだり、机にぶつかるなどの危険が予測しにくく、ストーマを傷つける要因がいたるところにあるといってもよいでしょう。
寝返りがうてるようになると、うつ伏せの状態で手足をばたばたさせて遊んだりします。よちよち歩きのころはよろけて尻もちをつくことが多いのですが、しっかり歩いたり走ったりできるようになると、勢いよく前のめりに転ぶようになります。土手やすべり台を腹ばいですべったりもします。
装具がしっかり装着されていれば、ある程度外力による損傷は防ぐことができます。
また、腹巻やストーマ袋カバーを使うことも効果的でしょう。
幼児期以降では、ストーマがあるから運動が制限されるということはほとんどありません。鉄棒や、直接相手とぶつかる格闘技などは避けたほうがいいですが、特にストーマを傷つけることがなければいろいろなスポーツを行うことができます。
水泳などは事前に便や尿をストーマ袋から出しておく、前の晩に装具を新しいものに交換するなどして、漏れないようにするとよいでしょう。水泳をする際、女子は模様のついた水着を着るとストーマ袋が上から目立たないでしょう。男子はウエストまである海水パンツを着るとよいでしょう。
入浴は装具をつけたままでも取り外してもよいです。小児は新陳代謝が活発で汗も多いため、毎日入浴させましょう。
入浴後に貼付する装具を準備しておきます。
装具の準備ができたら入浴します。その場合下痢をしていたり、尿路ストーマでなければ装具を外して入浴させましょう。装具を外してもストーマからおなかにお湯や菌が入ることはありません。入浴中、便が出ることがありますので、浴室にゴミ袋を準備しておきましょう。皮膚の清潔のためにも装具を剥がして入浴させましょう。
ストーマ周囲の清潔は装具交換時と同様です。
入浴後、ストーマ周囲の水分を乾いたタオルで拭きとります。湯冷ましなどを飲ませ、汗が引いてから装具を装着します。
子どもの睡眠中の体動の多さや発汗の多さ、無意識に装具部位を引っ張る、かきむしるなど睡眠中のアクシデントにつながりやすい要因がいくつか考えられます。
睡眠中に漏れたり剥がしたりして安眠が妨げられないよう、入眠前にストーマ袋内の排泄物を処理しておく、夜間の排泄量が多い場合は、夜間に1~2度家族が排泄物の処理をすることも必要でしょう。尿路ストーマの場合、小児用のストーマ袋は容量の小さいものが多いので、蓄尿袋に接続してもよいでしょう。その際、体動で引っ張られないようにするために、パジャマの中に入れるようにします。
無意識の動作から保護するためには、直接手が触れないように腹帯を使用したり、つなぎになっているカバーオールタイプのパジャマを着用するとよいでしょう。
衣服も発達段階とともに変化していきますが、いずれの時期でもストーマの上にゴムやベルトがこないような服、ストーマを締め付けないものがよいでしょう。
乳児期
ストーマがちょうどおむつと重なる位置にきます。ストーマ袋内に排泄物がたまっても破裂しないように、ストーマ袋は折りたたまずに伸ばしておむつの中に入れるようにし、おむつもいくぶんゆとりをもたせて着用させます。閉鎖具が皮膚に当たり、傷付くようなら輪ゴムかクリップレスタイプを使用しましょう。
乳児中期になると動きが活発になり、指先の細かい動きもできるようになるので、前項で述べたように無意識の動作から保護するために、日中もカバーオールタイプの衣服がよいでしょう。
幼児期
幼児期以降では シャツとパンツを着るようになりますが、ウエストがゆるいタイプのものにしてサスペンダーを使用したり、オーバーオールタイプの服やワンピースがよいでしょう。
学童期
学童期になると、普段着も幼児期に比べると体にフィットしたものや、ベルトの必要なズボンを着用する機会が増えてきます。また、体操服や水着が学校指定のものになることも多いでしょう。ストーマを締め付けないものであることが原則ですが、衣服に合わせて装具を目立たせない肌色のものにしたり、ストーマ袋カバーを使用するなどの工夫も必要になります。着替えなどで他人にめだたないようにするため、腹巻を使用するなども良いでしょう。脱臭フィルターの使用も考慮します。
お子さんの成長とともに行動範囲が広がり、外出することが多くなるでしょう。
ストーマがあるからといって外出が制限されることはありません。不意の漏れに際して、予備の装具やおむつを持ち歩きましょう。外出先で装具の交換が不安な場合には乳幼児であれば、おむつで対応し、自宅に戻ってから交換してもよいでしょう。
最近では、オストメイト対応トイレもいろいろなところに完備されているので、外出先でも気兼ねなく交換ができます。
お子さんの成長のためにも、いろいろな場所に出かけて楽しい思い出をつくることは重要です。旅行も制限されることがありません。
外出のときと同じように、予備の装具を持参すること、海外旅行に行く場合には、装具が手に入らない可能性があるので装具を必ず持参するとよいでしょう。
車に乗る場合
ストーマの位置に、チャイルドシートのベルトや車のシートベルトがかからないようにしましょう。または、ベルトと衣服の間にタオルをはさむ方法もよいでしょう。
予備の装具を高温多湿になる車中に保管すると、面板の粘着力が弱くなることがあります。気をつけましょう。
飛行機に乗る場合
飛行機に乗ると、気圧の変化によりストーマ袋が膨らむことがあります。二品系の装具を使用している場合にはガス抜きが簡単にできますが、単品系の場合にはフィルター付きの装具を選ぶとよいでしょう。
また、交換用の装具はスーツケースだけでなく機内持ち込み用バッグにも入れておきましょう。
災害に備えて、非常用持ち出し袋などの準備を心がけましょう。
[非常用持ち出し袋の中身]
・10日分程度の装具
・ティッシュ(水に流せるもの)、ごみ袋、手拭用ウェットティッシュ
非常用持ち出し品の定期点検は年に1~2回行い、そのつど新しい装具と交換しましょう。
使用している装具の商品名や種類、装具を購入している販売店名や電話番号、かかりつけの病院の電話番号などをメモし持ち出し袋に入れておきましょう。
装具は自宅だけでなく、親戚宅へも置かせてもらえると安心です。
災害時、尿路ストーマの方は水分摂取が少なくなりがちです。ペットボトルのお茶や水(市販)を蓄えておきましょう。
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