2021年2月公開
感染源、感染経路、宿主の3つの要素が揃うと感染が成立するため、3つを揃えないように、それぞれに対して対策をとります。
病原体が存在し感染源になる可能性がある排泄物、血液・体液・分泌物、使用した器具・物品を扱うときには、扱う人の手が汚染されるのを防止し、また汚染した手の病原体が他の入所者に伝播するリスクを減らすために、手袋を着用します。そして、手袋を外すときに手を汚染しやすいことと、手袋にはピンホール(針で刺したような穴)があるといわれているため、手袋を外した後には必ず手指衛生を行います。
環境中の病原体を減らすために、日常清掃を定期的に行います。
また、使用した器具・物品は、適切な処理(洗浄・消毒・滅菌)を行います。
感染症が疑われる入所者に早く気づき、伝播する前に他の入所者と隔離します。
来訪者は咳や発熱、下痢などの症状があるときには施設への出入りを控えてもらい、職員は症状があれば出勤を見合わせて受診、休養する等、外部から感染源が持ち込まれないようにします。
感染源から次に感染を受ける相手にうつっていかないように、感染経路を遮断します。その基本となるのが「標準予防策(スタンダードプリコーション)」と「感染経路別予防策」です。
標準予防策とは、「すべての入所者・利用者の血液・体液・分泌物、排泄物、傷のある皮膚、粘膜には、感染するおそれがあるものと考えて取り扱う」という感染予防策です。感染症を持っていることがわかっている入所者・利用者だけに行うのではなく、すべての入所者・利用者に対して、日常から行う予防策です。
すべての入所者・利用者を対象に行う理由は、感染症だとわかっている入所者・利用者は「氷山の一角」に過ぎないからです(図1)。実は、病原体を持っていても施設で検査を行うことはほとんどないため、事実はわかりません。また、潜伏期間(病原体に感染してから症状が出るまでの期間)中で症状が出ていないだけかもしれません。
さらに、検査ではわからない未知の病原体を持っているかもしれません。そのため、誰もが何らかの病原体を持っているかもしれないと考えて、入所者・利用者と自分自身を感染から守るために標準予防策を行います。具体的な内容については、「Part5~8 感染を起こさないための日常の予防対策」を参照してください。
感染症を疑う症状のある入所者・利用者が発生した場合は、標準予防策に加えて、感染症の原因になっている病原体の感染経路に合わせた「感染経路別予防策」を実施します。
病原体がからだに入り込んでも感染症が起こらないように、普段から免疫力を高めておくようにします。免疫力を高めるための基本は、栄養バランスの良い食事、質のよい十分な睡眠、適度な運動等です。さらに、頭皮、皮膚、口腔内、陰部など身体を清潔にしておくことも大切です。
予防接種法では、高齢者の定期予防接種の対象としてインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを推奨しています。予防接種の機会を積極的に提供し、ワクチンで防げるものはワクチンで防ぐようにします。職員に対しても、必要なワクチンは接種しておくようにします。
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