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高齢者施設での感染対策の実際

医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院
看護部長/感染管理認定看護師
小澤美紀

2021年2月公開

Part6感染を起こさないための日常の予防対策②:個人防護具①手袋、マスク

個人防護具(Personal Protective Equipment:PPE)とは、日常のケアの中で血液、体液、排泄物、嘔吐物などを扱うときに、自分自身の身体を保護し、また自分が持っているかもしれない病原体から入所者を守るためのものです。マスク、手袋、エプロン、ガウン、ゴーグル、フェイスシールドなどがあり、行うケアに応じて必要なものを組み合わせて着用します(表1)。

表1個人防護具の適用

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血液、体液、排泄物、嘔吐物などが 手に触れる可能性があるとき 手袋
自分の口や鼻に飛び散ることが予測されるとき マスク
自分の目に飛び散ることが予測されるとき ゴーグル
自分の目・口・鼻に飛び散ることが予測されるとき フェイスシールド
衣服に飛び散ることが予測されるとき エプロン、またはガウン

個人防護具の使用後は、表面が汚染しています。外すときに正しく外さなければ、自分の衣服や周囲を汚染させてしまう危険があります。そのため、着用するときよりも外すときが重要です。

1.手袋

1必要な場面

手袋は、おむつ交換、陰部洗浄、口腔ケア、吸引、汚れた器材や衣服等の洗浄などの際に着用します。

2着用手順と外し方

手袋の着用手順を図1に、外し方を図2に示します。

図1手袋の着用手順

①手袋の裾をつまんで下に垂らす
②親指の位置を確認して手を入れる
③反対の手も同様に装着する
④手首が露出しないようガウンの袖口まで覆う

手首が露出している

図2手袋の外し方

①皮膚に直接触れないようにする
②手袋の内側がオモテになるよう静かに外す
③外し終わった手袋を、手袋をしたほうの手の中に丸める
④手袋を外した手の指先を、もう一方の手袋の内側に差し入れる
⑤そのまま引き上げるようにして外す
⑥一塊となった手袋をそのまま廃棄する

3留意すること

  • 手袋は1回ごとに交換します。同一入所者であってもその方に違うケアを行う場合(例:おむつ交換の後に離床介助など)には、手袋を外すか、交換するかします。汚染した手袋を着用したままケアを続けたり、ベッド柵やテーブルなどの周囲の環境に触ったりしないようにします。
  • 手袋を外した後には、手指消毒を行います。
  • パウダー付き手袋やゴム素材の手袋で手荒れを起こす場合があります。そのときは、手荒れの原因を専門家に相談するとともに、他の素材の手袋を使用します。

2.マスク

マスクには、不織布(サージカル)マスク、布マスク、ウレタンマスクなど、さまざまな種類のものがあります。マスクの目的は、「自分がうつらない、相手にうつさない」ことです。それぞれの特徴を知り、目的によって使い分けることが重要です。
ウイルスとマスクの網目の大きさについては、図3に示します。

ここでは、サージカルマスクの着脱について説明します。

表1マスクの種類と長所・短所

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  長所 短所 着用場面・注意点
ウレタンマスク
  • 通気性が高い
  • フィット感が高い
  • 洗って再利用できる
  • 遮断性が低い
  • 花粉や埃のアレルギー対策
布マスク
  • 保湿・保温効果が高い
  • 肌にやさしい
  • 通気性がよい
  • 洗って再利用できる
  • ウイルスカットの効果は低い
  • 顔に密着しにくい
  • 花粉や埃のアレルギー対策
  • 咳が出るとき
不織布マスク(サージカルマスク)
  • ウイルスカットの効果が高い
  • 使い捨てのため衛生的
  • 息苦しさを感じる
  • 使い捨てのためコストがかかる
  • 花粉や埃のアレルギー対策
  • 咳が出るとき
  • ウイルス対策(飛沫感染予防策)
N95マスク
カップ型
3つ折り
くちばし型
  • 0.3µm(1万分の3mm)以上の微粒子を95%以上ブロックすることができる
  • 息苦しい
  • 着用方法に訓練が必要
  • コストがかかる
  • 結核などの空気感染予防策として使用
  • 入所者には使用しない
図3ウイルスとマスクの網目の大きさ

1必要な場面

咳のある入所者へのケア時、自分自身が咳が出るときなど

2着用手順と外し方

サージカルマスクの着用手順を図4に、外し方を図5に示します。

図4サージカルマスクの着用手順

①マスクの上下と表裏を確認する
②ゴムひもを耳にかける
③ノーズピースを鼻の形に沿ってずれ落ちないようしっかり折り曲げる
④鼻を押さえながらひだを伸ばし、鼻と顎をしっかり覆う
⑤装着完了

図5サージカルマスクの外し方

①マスクの表面に触れないようにゴムひもをつまんで外す

②ゴムひものみを持って廃棄する

3留意すること

  • マスクの役割は、鼻と口の粘膜を守ることです。鼻が出ていたり、マスクと顔の間に隙間があったりすると、病原体が入り込んでしまいます(図6)。また、耳の遠い入所者に対して、ついマスクをずらして話しかけることがありますが、これは控えるべきです。
  • 使用したマスクは汚染しているものとして扱います。外したマスクをポケットに入れたりテーブルなどに放置することは不衛生です。再使用する場合は、ひもをひっかけて吊るして保管する、清潔な袋や箱に入れて密閉しないで保管するなど、環境を汚染しないように保管します。
  • マスクを触った後は、手指衛生を行います。
  • マスクは濡れるとフィルターが水分で詰まってしまいます。濡れたり痰や唾液で汚染したときは新しいマスクに交換します。

図6マスク着用の〇と×

正しい着用方法
鼻からあごまで覆い、隙間を作らない
間違った着用方法例
鼻が出ている

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