2021年2月公開
入所者や利用者全員の血液(血液が付着したものすべてを含む)・体液(胃液、腟分泌物など)・汗を除く分泌物(唾液、痰、鼻水、目やになど)・排泄物(尿、便、嘔吐物)、粘膜(目、鼻・口の中、陰部、肛門など)、傷のある皮膚(傷口、褥瘡、胃ろう挿入部や点滴刺入部、ひどく荒れた皮膚など)からは感染する可能性があると考えて対応します。
標準予防策は、自分と入所者・利用者全員を守るために、日常から行う重要な感染対策です。その内容は多岐にわたりますが、高齢者施設では表1に示した8項目が特に重要です。
表1高齢者施設で特に重要な標準予防策
標準予防策の項目 | 対応例 |
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手指衛生 |
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個人防護具の使用 |
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ケアに使用した物品や器具の取り扱い |
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リネンの取り扱い |
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環境対策 |
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血液媒介病原体防止 |
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感染者の配置 |
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咳エチケット |
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毎日の業務の中で、手指衛生は最も基本かつ重要な感染対策です。手指衛生には、「液体石けんと流水による手洗い(handwashing)」と「擦式アルコール手指消毒剤による手指消毒(hand disinfection)」の2通りの方法があります。以前は、石けんと流水による手洗いが第一選択でしたが、2002年にCDC(アメリカ疾病予防管理センター)から発表されたガイドライン1により、擦式アルコール手指消毒剤が優先されるようになりました。
通常は擦式アルコール手指消毒剤による手指消毒(以下、「手指消毒」)を行い、手に汚れが見えるときとノロウイルスが検出されている入所者のケアの後には液体石けんと流水による手洗い(以下、「手洗い」)を行います。
手指衛生が必要とされているのは、以下の5つのタイミングです(図1)。
図1手指衛生5つのタイミング
特に、入所者・利用者に接する(触れる)前には手指衛生を確実に行い、自分自身が持っているかもしれない病原体を入所者・利用者にうつさないようにすることが重要です。手指衛生を必要な場面で行えるように、利用しやすい場所に手指消毒剤を置くこともポイントです。認知症の入所者・利用者が、手指消毒剤を持っていってしまったり飲んでしまったりする危険があるときには、携帯用手指消毒剤を携行する方法もあります。
図2液体石けんと流水による手洗い
擦式アルコール手指消毒剤は一定の消毒効果が得られ、携帯用が準備できればいつでもどこでも手指消毒を行うことができます。手が汚れていたり濡れていたりすると消毒効果が十分に得られなくなるため、手に、目に見える汚れがなく、乾燥している状態で行います。
図3擦式アルコール手指消毒剤による手指消毒
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